日本共産党和歌山市会議員団事務局長 小薮 真一
はじめに
大橋建一和歌山市長は、3月11日市議会本会議にて、当初09年度からごみ有料化を実施するとしていた計画案の撤回を表明しました。これにより、実 施の具体的計画案が明らかとなった昨年夏から1年足らずの間で、反対する市民の声が実ることになりました。私は、和歌山市が昨年5月に廃棄物対策審議会に ごみ有料案の具体的提示をして以来、和歌山市議団のみなさんと有料化に反対しごみ減量のための政策提言にむけて取り組んできたもとで、市長の「有料化撤 回」表明を感慨深く受け止めています。3月11日は、市民にとっても和歌山市政にとっても、ごみ減量施策の新たな出発点となるものです。
ごみ減量に本格的に踏み出すうえで、反対運動と政策提言に取り組んだ約10ヶ月間をふりかえり2つの点を強調したいと思います。一つは、市長にごみ有料化 の「方針転換」を表明させた2月18日の和歌山市廃棄物対策審議会の画期的な「答申」内容を明らかにすること、もう一つは、市議団の「有料化に頼らずとも ごみ減量は可能である」との確信のうえに立ったごみ減量施策の提案について次に述べたいと思います。
1、市長が「ごみ有料化」の「方針転換」を表明
3月11日、市長がごみ有料化から「方針転換」を表明
朝日新聞(3月14日付)は、大橋建一和歌山市長が11日の市議会において日本共産党大艸主馬市議の一般質問にたいして、「和歌山市は、09年度か らの導入を検討していたごみ有料化を見送る」「有料化以外の減量化施策に取り組んでいく」と有料化計画にたいして方針転換を示したと報じました。この「方 針転換」は、2月18日に和歌山市廃棄物対策審議会が「(ごみ有料化による)市民への新たな負担ではなく、他の施策の実施が必要」との答申を市長に出した ことによるものと報じています。
「8億5千万円の市民負担、効果はごみ減量10%」市の有料化案
市の提案は、09年度6月にまず粗大ごみをシール一枚300円とし、10年2月から家庭ごみ袋40リットル1枚52円とし、年間8億5千万円の市民負担となるものです。
目的は「ごみ有料化」することで市民のコスト意識を働かせごみ抑制につなげ、ごみ減量は10%になるというものです。この有料化導入は、環境省と和歌山県がすすめる施策であり、ごみ減量の効果はあると環境省が述べていると審議会で繰り返し市は説明しました。
この計画を知って「ちょっとまったごみ有料化」「10%のための有料化はおかしい」などと批判と怒りの声が多くの市民また女性を中心にひろがり、アンケー ト活動などをひろげそれが審議会にも反映することになりました。日本共産党市会議員団は、有料化がごみ減量に有効とする説明は根拠が不十分なこと、また全 国と県下のごみ減量施策の優れた経験を徹底調査し有料化にたよらずともごみ減量は可能であるとする減量施策をまとめ、09年9月議会で市長に全面的に政策 論戦をしました。これは、次号で紹介します。
2月18日、ごみ減量施策の転機となった審議会答申
和歌山市長は、07年11月「ごみ有料化、09年度実施」にむけた廃棄物対策審議会に諮問していました。審議会は、6回の審議のすえ、2月18日に 市長から諮問されていたごみ有料化に対する答申を市長に提出しました。その内容は、ごみ有料化はごみ減量に有効であると明記しているものの、市提案の09 年度実施は撤回するとともに今後の実施時期を明記しませんでした。そして、有料化実施前にごみ減量施策を「まずすすめること」を明記しました。また、和歌 山市のごみ減量が進まない市の責任について「ごみの減量化施策を総合的に実施できていなかったこと」が原因と指摘し、集団回収の実施を求めることも明記さ れました。朝日新聞は、3月11日の本会議市長答弁を「方針転換」と評したのはまさにその通りです。
審議会の議事は、ホームページで公開されていますが、とくに会長を先頭に真剣に議論され、市民の多くの願いを反映した答申を出されたことに心より敬意を表するものです。日本共産党市議団の答申への見解は別掲のとおりで、答申は画期的な内容をもっています。
次回、ごみ減量についての市議団の調査研究をふまえた政策論戦について述べます。
「ごみの有料化について」(答申)に対する見解
2009年2月18日
日本共産党和歌山市会議員団
和歌山市廃棄物対策審議会において6回の審議を経て2月18日、「ごみ有料化について」の答申が市長に出されました。以下に日本共産党市会議員団の見解を発表します。
1、「有料化は有効な手法であり、ごみの有料化を実施することは適当である」という答申には賛成できません。
2、実施時期について当初2009年4月より、8億円の市民負担を伴う有料化を実施するとしていましたが見送られ、「まず減量化策を進めるべきであ ること」、「市民の経済的負担は避けるべきであること」などが新たに盛り込まれました。また、市民の自主的な取り組みへの支援策の中に「集団回収」が明記 されました。資源ごみの手数料についても、一般ごみの2分の1以下という記述を改め、一般ごみとは区別して料金を設定することとなりました。これはいずれ も、市民のごみ行政に対する要求や意見を反映したものです。
3、和歌山市のごみ行政はリサイクル率、減量のいずれにおいても、ワーストクラスとなっています。その原因の一つとして「ごみ減量化施策を総合的に実施してこなかったことにある」と書き加えられたことは大きな第1歩だと考えます。
審議会での議論を通じ、2及び3の内容が答申に明記されたことは、ごみ行政の前進につながるものであり、会長をはじめ審議委員のみなさんに敬意を表するものです。
私たち市議団は審議会や議会を通じて、先進都市の具体例を明らかにし、減量化計画の策定を求めるなど、有料化せずとも減量は可能であることを提案してきま した。今後、ごみ行政は減量化をどう具体化するかが大きな課題となります。しかし、行政だけに任せておけば良いというものでは決してなく、市民との協働、 市民参加の減量策の推進が不可欠です。
私たち市議団は市民、行政、事業者が一体となってごみ行政を進めることと共に、循環型社会を目指し、引き続き奮闘するものです。
以上