市議会ニュース -2010年9月号-

和歌山市9月定例市議会は9月9日から開会され、本会議での一般質問、常任委員会での審議を経て、最終日の10月1日、提案された18件の議案は 賛成多数で可決され閉会しました。日本共産党市議団は議案1号を除くすべての議案に賛成しました。議案1号には小学校給食の「民間委託」のための債務負担 行為の補正や当初予算で組んだ住宅の建て替え費用を明確な理由なく増額する予算などが含まれていたため反対したものです。なお、最終日の本会議では2つの 意見書と発議が採択されました。

<小学校給食の民間委託>来年度さらに6校 名草、和歌浦、山東、木本、西脇、八幡台

教育委員会は説明責任を果たせ!

昨年から自校方式(単独調理)の小学校給食の調理及び洗浄業務の民間委託が、すでに5校で実施されています。44校のうち半分の22校を民間委託 の対象としていますが、全体計画については明らかにされていません。今回の6校についても、今年度末に退職する調理員の数を根拠に選んだという以外は明確 な基準が示されませんでした。昨年12月、納得できる説明がないという理由で小倉小学校などから、民間委託の白紙撤回を求める声が出たことから、市教委は 「出来るだけ早く全体計画を明らかにした上で関係者に説明する」と答えていましたが、この9月議会でも明らかにされませんでした。対象となっている6校へ の説明は議会終了後とのことです。
どの小学校を対象にするのかだけではなく、「民間委託」という方針そのものについて、関係者に是非を議論する機会はまったく保障されないまま、実施を強行する教育委員会の姿勢そのものが問われています。

中学校給食は来年度中~段階的・試行的に

教育長は6月議会の一般質問で「中学校給食の実施については、民間委託の手法も取り入れながら検討する」と答えましたが、具体的な時期については明言を避けていました。
この9月議会の経済・文教委員会の審議の中で「親子方式を視野に小規模校で来年度から少しでも実施する」との考えを明らかにしました。

東和・東和第2団地の建て替え さらに増額?

2月議会に提案された東和・東和第2団地の建て替えの予算は、老朽化し危険を伴うためという説明でした。しかし、老朽化し早急な建て替えが必要な 市営住宅は他にも多くあります。その住宅を後回しにして先に進める理由が見当たらないという議論をしたにもかかわらず、この9月議会でさらに用地の購入を 打診されたという理由で計画を変更・増額しました。
市議団は、当初の計画では変更する予定を含むものであるとの説明はなく、ずさんな計画であることを指摘しました。


11月1日からサービスセンター開始 支所・連絡所の窓口業務は廃止!

森下さち子市議

 市は行政改革の一環として、これまで支所・連絡所で行ってきた住民票・戸籍などの諸証明を発行する窓口業務は、11月1日から廃止し、7ヶ所(当面5ヶ所)のサービスセンターへ集約します。
昨年6月の一般質問でも取り上げましたが、不便になるという市民の声に対して、どう応えようとしているのか。また、より不便なところへの具体的な対策について質しました。
市長は、「不便になるという意見や機械を据え置いて欲しいという意見などがあることは承知しており、特に加太地区・山口地区については、自動交付機の設 置を検討している」また、「満75歳以上の方、身体障害者手帳をお持ちの方、介護認定を受けている方については、サービスセンターから職員が取り次ぎ業務 をする」さらに「10月中に各単位自治会に向けた説明会を市内10ブロックで開催し、そこで出た意見についてはよく聞くことはもちろん、もし、重大な不具 合が生じた場合は適切に対応する」と答えました。

子育て支援は経済支援が不可欠

就学援助や子どもの医療費の拡大を

生活保護や就学援助の増加、一人親世帯の増加など、貧困が深刻化する中で子育て支援は少子化対策としてのみではなく経済的支援が不可欠です。
市長は「親の経済力や幼少期の生育環境によって人生のスタートラインの段階から大きな格差が生じ、世代を超えて格差が固定することがないよう積極的に取 り組む必要がある」との認識を明らかにした上で「子どもの医療費の助成、一人親家庭などに対する母子家庭等医療費の助成、保育料の軽減、就学援助などに取 り組んでいるが、今後とも経済的支援に取り組む。学童保育についても時間延長や機能充実に努める。特に施設建設は今後とも積極的に進める」との具体策につ いても示しました。


文化会館は地域のコミュニティセンター的活用を!

渡辺ただひろ市議

 地域改善対策(同和対策事業)に関する法律はすでに終了しており、文化会館(隣保館)の使用についても厚生労働省は「地域に開かれた公共施設として使用することが望ましい」という通達を出しています。
市長も「中立、公正を旨とする」とし、市民にたいして「申請すれば、いつでも使用できる」と述べてきました。ところが、昨年12月、市民の方が「同和施 策の終結をめざす会議」のため使用申請しましたが、市は「会館使用目的にそぐわない」と、使用を認めませんでした。文化会館の使用目的とその運用について 取り上げました。
「文化会館の目的」について市は「地域コミュニケーションと生活相談、人権問題の解決」とし、市長は「差別のある、なしの答えによって使用条件をつける ものではない」と答えています。しかし、市は不許可の理由を「申請者は申請時に『部落差別はなくなった』と主張したため会館の使用目的と異なる」と答弁し ました。「地域社会に開かれた使用」をいいながら、実際の運用ではそうなっていない上に実態を改善する姿勢も示されませんでした。厚生労働省の通達に沿っ て、全ての文化会館等の施設は広く市民が使用できるようにすべきだと求めました。


中小企業支援は経済対策の要

大くさ主馬市議

住宅リフォーム助成制度の実現を

円高不況のもと下請け単価の切り下げ、仕事減らしの追い討ちで市内中小業者の倒産・廃業が続いています。事業所の99%を占める中小企業支援策と 景気対策について質しました。現在、市は耐震補強工事、公共工事の分離発注、小規模登録制度を実施していますが、耐震補強診断では300戸の予定戸数に対 して133戸、改修工事は30戸にとどまっています。建具・襖、畳などの分離発注も地元業者と市の直接契約に至っていません。地元業者の仕事確保と経済波 及効果を拡大させるためにも「住宅リフォーム助成制度」の実施を提案しました。
住宅リフォーム助成制度は秋田県、新潟県をはじめ10県30都道府県の154自治体(2010年3月現在)で実施されており、今年度さらに宮崎市、北見 市など各地へ広がっています。市は、「住宅リフォーム制度は地域経済への波及効果が大きいと考えられるため、関係部局と協議し研究したい」と答えました。

処理計画の作成を!

医療系廃棄物処理施設の実態を把握し指導を

住民の反対運動の中で許可された青岸地区の医療系廃棄物焼却施設について、現在の状況はどうなっているかまた、市の医療系廃棄物に関する今後の方針について質しました。
和歌山市の医療機関から排出された医療系廃棄物の排出量は2008年度4694㌧で、そのうち感染性廃棄物の排出量は、2569㌧です。ところが、青岸 地区の焼却施設での感染性廃棄物処理量は2007年929㌧、2008年3474㌧、2009年3737㌧と年々増えています。つまり、市内で排出されて いる廃棄物だけではなく、市外からの廃棄物をも受け入れていることが判明しました。
廃棄物処理のあり方は、市民生活大きな影響を与えることから処理計画を早急に作成すること、専門職員の配置などを求めました。


ヒブワクチン接種費用を一部助成へ 9月議会で予算計上

南畑さち代市議

 9月議会でヒブワクチンの接種費用の助成1290万円が計上されました。
私は、昨年12月議会で市に助成を提案し、今年2月全会一致で国に公費助成を求める意見書が採択されました。
細菌性髄膜炎に有効なヒブワクチンは、世界では無料の定期接種です。日本は任意接種で、1回約7000円と高額負担になっています。今年12月から市は、2才まで5回の接種分に1回3000円を助成することになりました。(手続きなどは12月市報をご覧下さい。)

<短期証>10月から改善へ! 6月議会質問が実る!

6月議会で、和歌山市の国保の資格証の発行が多いことから「発行やめるべきである」と市に求めてきました。
資格証は2955世帯、6ヶ月短期証は1082世帯、3ヶ月短期証は3359世帯発行されています。市は、この改善の一歩として、10月から3ヶ月の有 効期間である短期証は廃止し、6ヶ月の有効期間となるなど改善されました。引き続き、受診抑制につながる資格証の中止を求めてゆきます。


<市議会定数削減>日本共産党は反対

9月議会最終日、「議員定数を40人から38人に削減する条例改定案」が議員発議で提案されました。日本共産党市議団4人を含めて9人が反対しましたが、賛成多数で可決されました。日本共産党市議団を代表して大艸主馬市議が反対討論を行いました。次に要旨を紹介します。

大艸市議の反対討論(要旨)

地方自治法は、市長と議会を直接住民が選出する2元代表制としての機能を定めています。とりわけ議会は、首長の独善を戒め、チェックする機能を果 たし、多様な住民要求を反映する重要な意味をもっており、議員の定数は極めて重要です。当議会では、46人の法定定数を40人に6人削減しており、議会本 来の役割を果たし、多面的な市民要望を担っていくと言う意味からもこれ以上削減する必要性は見当たりません。市民感情から、議員活動が目に見えないことも 定数削減の一つであるとの意見もあります。
日本共産党は、議会ごとに議会報を発行し、住民の付託にこたえられるよう活動していますが、今後とも全力を尽くすことを表明します。

<全会一致で採択>共産党市議団も共同提案

「尖閣諸島問題、政府へ意見書」(要旨)

「尖閣諸島は、明治28年に所管決定し、中国政府が昭和35年に発行した外国地名手冊に日本領と記し」、「わが国固有の領土であること、国際法上 や歴史的領有事実からも明らか」、「国民の安全と利益を守るべきである」と述べ、「①日本政府は、尖閣諸島がわが国の領土であることを毅然と中国政府をは じめ諸外国に示すこと、②中国政府に厳重に抗議すること、③海上保安本部の体制を強化すること、④政府は、日中両国がこれ以上緊張させることなく、平和 的、外交的解決に努力をつよめること」

「国立大学法人運営費交付金見直しの意見書」(要旨)

「毎年、運営交付金の削減実施で教育・研究などに支障を来たし始め、大学の存続が危ぶまれている」、「知の拠点」として「教育・研究の基礎を支えるため、運営に必要な交付金を充実されたい」