市議会ニュース -2009年9月号-

和歌山市9月定例会は、9月10日から10月1日まで開かれました。
日本共産党市会議員団は4人全員が一般質問に立つとともに、提案された18の議案のうち15議案には賛成し、教育費における電子黒板など不要不急と思われる予算、小学校給食の民間委託を新たに3校拡大する議案には反対しました。


渡辺ただひろ市議

安全・安心な農産物は日本の大地から

FTA(日米間自由貿易協定)の与える影響と和歌山市の農業政策

生産緑地指定の稲穂

生産緑地指定の稲穂

日本の食料自給率は現在40%弱となっており、早期に50%台へ回復させることが求められています。先の総選挙では「FTA(日米間自由貿易協 定)」についてさまざまな議論がありましたが、農業関係者の不安は大きく、「締結されるとなれば日本の主要農産物は激減する」との声に対し市長の見解はど うかと質しました。
市長は「FTA締結はわが国に甚大な打撃を与えるものと憂慮し、食の安全にたいしても多大な影響を及ぼす」と危惧を表明しました。
また、今年6月「農地法」が改悪され「農地の所有は、その耕作者自らが所有する」という原則が削除され、農業部門に一般企業の参入が可能となった影響について質しました。
市長は「和歌山市農政に将来に渡って影響」と答えました。

自給率引き上げへ農政充実を

さらに、日本の農業の実態について500㎜㍑ペットボトルで「この天然水の値段は120円、農家が丹精込めた米を詰めれば100円を切る」とリア ルに示しながら、①農家の種苗購入②生産緑地制度の要綱の改善③和歌山市食料自給率(現状11%)引き上げのための遊休農地の有効活用および「補助金制 度」の見直しなど、農家への具体的支援を要請しました。


<大滝ダム>2008年度公営企業決算認定 58億円も利息に投入!

10月5日と7日の両日、上水道・工業用水道の決算審査が行われ、渡辺忠広議員が委員として審議しました。
主な問題点は供用開始の目途も立っていない大滝ダムの負担金を支払うため、借入金の利息払いだけで58億円にも達していることが明らかになったことです。また、有収率は現在、低いにもかかわらず計画を見直し、目標そのものを下げたことが明らかとなりました。
さらに水道局敷地でありながら、管理が不十分な実態を指摘しました。
このような状態を直ちに改善することを求めるとともに、問題点を含む決算認定には反対しました。


大くさ主馬市議

新政権の議論に期待!

市長 地方自治の進展に意欲

8月の総選挙で自・公政権が退場し、民主党中心の政権が誕生したことから、民意について、労働者派遣法の改正、後期高齢者医療制度・障害者自立支援法の廃止、生活保護の母子加算の復活等への道が開かれていることに対する市長の考えを質しました。
市長は「非正規雇用者数は全雇用者数の約3分の1を占め、失業リスクも高い。大量の派遣切りや雇い止めが、大きな社会問題になっていることから、これらの是正に向けて、今国会で活発に議論がなされるものと期待している」と答えました。
また、市長は「住民の福祉の増進を図ることは、地域行政の基本。新政権誕生を機に現場の声を積極的に発信し、地方自治の進展に繋げる」と住民福祉向上への意欲を示しました。

<和大新駅>イオン出店計画

中心市街地活性化計画と大規模店出店の影響は?

新駅を中心としたイオンの大規模店出店計画(19・4ha)が中心市街地や周辺商業施設に与える影響について質しました。
市長は、「中心市街地は多様な都市機能を有する中心核で和大新駅は中心核を補完する地域核の一つ。相互に連携することで市全体の活性化が期待でき、消費の市外流失にも歯止めをかけられる」などと答えました。
大規模店の進出が周辺店舗にどのような影響をおよぼすのか、市はシュミレーションもしていません。調和のとれたまちづくりのためにも、住民合意は不可欠だと指摘しました。


南畑さち代市議

<インフルエンザ対策!>10割負担 資格証でも3割負担で!

和歌山市でも、今後インフルエンザの対策強化が必要となることから、現状と対策について質しました。
国保料金を滞納すると、保険証が交付されず、資格証となります。資格証での受診は全額自己負担となることから、8月末までの国民健康保険の資格証明書での受診は3割負担とみなすという施策については、重症化を防止する対策として継続するよう求めました。
市長は「医療体制を関係機関と連携して確保し、ワクチンは市民に円滑に接種出来るよう取り組む。費用負担については、国に公費負担や軽減策の実施を要望していく。障害者福祉施設の休業補償制度の創設については、国の動向を見極める」と答えました。
また、「資格証発行世帯には短期証を発行するなど、インフルエンザの発生状況に応じた適切な対応を行う」と答えました。

防災・耐震施策を万全に!

ため池・橋梁は大丈夫!?

2年前に改修されたため池

2年前に改修されたため池

8月11日、静岡県沖、駿河湾の深さ23キロを震源に発生した地震はマグニチュード6・5でした。和歌山市でも「いつ起きてもおかしくない」と言われている東南海・南海地震の耐震、防災対策が急がれます。
これまでに取り上げてきた、ため池、橋梁、公的施設の屋内転倒防止策の進捗状況をはじめ、予算の確保や市長の決意について質しました。「約500個所あ るため池の調査は278箇所を完了。残りは今年度中に終了予定。改修は今年度14箇所を予定。改修費用の地元負担(7割)の軽減は他市の状況を調査し検討 する」と答えました。
橋梁については、「橋長15メートル以上の橋梁85橋と避難路にあたる15メートル未満の2橋をあわせた87橋について健全度の予備点検を実施。その結果をもとに来年度『長寿命化修繕計画』を策定。計画策定には学識経験者等の専門家も参画予定です」と答えました。


森下さち子市議

<学童保育>安心して遊びたい!

一日も早く待機児童を解消して!

小学校内の余裕教室で行っている学童保育(若竹学級)は現在、満杯で抽選により入所が決められるところが数ヶ所あります。中には1年生から抽選を 余儀なくされているところもあり、「昼間、保育に欠ける児童の健全な放課後を保障する」という学童保育の本来の目的を達成できていません。
子どもたちが放課後を安心して過ごし、保護者が安心して働き続けるためにも現状を早期に改善する必要があります。
待機児童の実態を調査し、専用施設の建設も含め、待機児童をなくす手立てを講じるよう求めるとともに保護者の労働実態に合わせた開設時間の延長について改善の目途を質しました。
市長および教育長は「学童保育は市の重点施策と位置づけており、待機児童が出ていることは早期に改善するべきことだと考えている。余裕教室の可能性や専 用施設の建設など、総合的にもう一度精査する。6時までの開設時間の延長については来年度中に前教室で実施できるよう最大限の努力をする。実態調査は10 月に予定しており今年中に結果を集計する」と答えました。

学校給食は直営で!

2010年からの3校(小倉・雑賀・高松)の民間委託は撤回せよ!

現在、和歌山市では第1共同調理場(4校分)第2共同調理場(4校分)貴志小学校、貴志南小学校の計10校を民間委託しています。
9月議会の経済・文教委員会で教育委員会は新たに来年3校を追加するという計画を提案。賛成多数で可決されました。しかし、民間委託は「請負」の形態をとっているものの、内容は偽装請負といわざるを得ない実態となっています。
教育委員会は「安全・安心の給食」を提供するために業者とコミュニケーションをとりながら業務にあたっていると説明しましたが、安全・安心の給食は文科省の食育を実践するという意味でも給食は教育の一環であり、直営でこそ守れるものではないでしょうか。


3つの議案には反対

1坪100万円の用地買収

現在、和歌浦にある南保健センターを駐車場がない、耐震性に問題があるなどの理由で田尻の用地に移転させるための用地買収費が計上されました。し かし、1990年当時、開発公社が先行取得していた目的はすでになく、20年近くも放置されていたことによって坪単価が100万円にも膨らんだもので、見 通しの甘さや恣意的な買収が原因といえます。

<学校給食>民間委託を3校拡大!

補正予算については、大部分が国の経済・雇用対策です。しかし、小・中学校で使用する電子黒板は現場からの要求もなく不要不急であること、学校給食の民間委託を来年度、新たに3校拡大することが含まれています。

<国保特別会計>加入保険料引き下げず!

また、国保特別会計は前年度見込んだ収入が黒字になったにもかかわらず、加入者の保険料を下げることに使っていません。
以上の理由から、問題点を指摘し3つの議案には反対しました。


3つの意見書を可決

○核兵器の廃絶と平和を求める意見書が全一致で可決されました。(要旨)

「ノーモア・ヒロシマ」「ノーモア・ナガサキ」「ノーモア・ヒバクシャ」この訴えは核兵器廃絶と恒久平和を願う私たち被爆国民の心からの叫びである。しかし、核兵器はいまだ世界に約2万1,000発も存在し今なお人類は核兵器の脅威から解放されていない。
2000年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議では、全面的な核兵器廃絶を約束したはずが2005年の同会議では実質合意ができず、核軍縮はもとより 核不拡散体制そのものが危機的状況に直面している。よって政府において、2010年に開かれるNPT再検討会議に向けて、実効ある核兵器廃絶の合意がなさ れるべく核軍縮・不拡散外交に取り組まれるよう強く要請します。

◇  ◇

○国立大学法人運営費交付金の見直しに関する意見書
○地方行政への財源確保を求める意見書

この2つは賛成多数で可決されました。
日本共産党市議団は3つの意見書いずれにも賛成しました。