森下佐知子
日本共産党市会議員団を代表して、議案第35号、第36号、第39号、第41号~第44号、第46号、第50号~第53号、第60号、第63号~第67号、第70号の19件に反対の立場から討論を行います。
まず、議案第35号について
小泉内閣が進めた新自由主義路線が格差と貧困を進め、サブプライムローン問題に象徴されるカジノ経済の破綻は、実体経済に大きく影響を及ぼし、さらに市 民生活に追い討ちをかけるものになっています。和歌山市でも法人市民税の大幅減額が予測され、前年度比14,5%の減、11億6700万円となっていま す。議案第35号は一般会計予算であり、市民の暮らしや福祉にかかわるもの、中小企業対策や雇用、農業、防災など市民生活にとって不可欠なもの、あるいは 市職員の前向きな取り組みによるものなども計上されており、全てに反対するものではありません。しかしながら、市民生活を支えるためには不十分であるも の、市民の利益から見て不必要なもの、公平・公正の観点から不公正であるものなどが含まれています。
以下、問題点を述べます。
歳入中、住宅使用料の8億4564万8千円は公営住宅第1課管轄2943件、第2課管轄1116件ですが、今年度の第2課管轄住宅のみに認められ ている住宅減免は約3億円ということです。また、住宅内駐車場も第1課の2522万4千円分しか計上されていません。所得に応じた減免や市が整備した駐車 場として同等の料金を徴収するなど誰もが納得できる基準を持たないまま特別な優遇制度を継続させることは、公平・公正であるべき市の財政運営から大きく逸 脱しており到底認められるものではありません。早急な是正を強く求めるものです。
次に歳出、総務費中、総合防災費は今回、寄贈を受けた青色パトロール車の運用に伴うもので、警察OBなど2人分の報酬422万4千円及び共済費、 費用弁償、自動車燃料費、駐車場代など500万円余りが計上されています。目的は市民の安心・安全のためということですが、現在、各校区において児童見守 り活動など多くのボランティアが地域の安全を支えています。この活動のように、そこに住む子どもたちを地域の目で見守るなど、地域のコミュニティを厚くし てこそ犯罪の起こりにくいまちづくりにつながるのではないでしょうか。何もしないよりはいいというような安易な運用ではなく、効果的な利用方法について市 民の意見を聞くなど、本来の安心・安全な地域作りへの姿勢が不十分であるため賛成できません。
同じく総務費中、サービスセンター建設事業費1億2927万1千円は支所・連絡所の業務をコミュニティセンターに移し、サービスセンターとして運 用する計画となっています。日曜日も利用できるなどの前進面もありますが、集約化することでこれまでより遠くなり不便が生ずること、証明書など支所・連絡 所を通じて申請する場合は時間を区切りまとまってから申請となることなど、高齢者・障害者にとっては却ってサービスの後退となることが懸念されます。支 所・連絡所の統廃合については、各自治会など市民の納得と理解の上で進めるべきであり拙速なやり方は賛成できません。
徴税費中、業務委託料1050万円を始め、3000万円余は、債権回収対策として住宅使用料や貸付金など私債権の回収のため、債権回収専門の人材 派遣に伴うものということです。また、地方税回収機構負担金3936万8千円が計上されていますが、運用面で年利率14,6%という高利率の延滞料を課す ことになっており、このようなやり方は支払いをますます困難にすると思われます。現在の経済状況や貧困化の実態に即したきめ細かい対応こそ望まれます。悪 質滞納者についても各課で早期に回収方法を講ずるべきでありこのような施策には賛成できません。
住宅費中、エレベーター管理費報償金1140万円は17団地に設置されているエレベーターのうち住宅管理第2課管轄の7団地にのみ限定されたもの です。他のエレベーターは団地内自治会などにおいて無償で管理されており、この報償金の根拠が存在しません。同じエレベーターでありながら特別扱いの制度 となっていること、早急な見直しを求め行政改革の対象ともなっていたにもかかわらず、遅々として進んでいないことから反対です。
また、同じく住宅費において、住宅修繕のための工事費はわずか10戸分、1500万円に過ぎません。住宅募集における倍率は相変わらず高く、市民の要求にこたえるためにも思い切った予算配分が求められています。
土地造成事業費の繰り出し金11億7451万は土地造成特別会計の単年度収支の平準化を図るためのものだということです。連結赤字決算を回避する ためとはいえ、このような事態を招いた原因は市の失政にあり、市民の責任とは何ら関係ありません。一般会計から多額の予算を繰り入れることによって、市民 の暮らしや福祉への予算を切り縮めざるを得ず、結果として市の責任を市民に転嫁することになります。単なる数字の置き換えとも言えるこのような対策には反 対です。
教育予算は今年も10%を割り込みました。各学校で必要な需要費はこれ以上削減できないというギリギリの金額であるということが昨年の議論で明ら かになり、思い切った増額を求めてきました。特に中学校の所々修繕費が昨年をさらに下回っているなど、教育環境に責任を負うべき教育委員会の姿勢が問われ ています。また、就学援助についても現在の経済状況に即し、基準を見直すなどの政策的配慮が見られません。学童保育に至っては待機児童の解消、指導員の待 遇改善、午後6時までの開設など早急な充実が求められているにもかかわらず、市民の要望に見合う計画がありません。教育は未来への投資であり、全ての子供 たちに等しくその機会、環境、制度が保障されなければなりません。新年度の教育予算は極めて少ないといわざるを得ず、賛成できません。
次に議案第36号 国民健康保険特別会計について
昨年度に続き、新年度も特定健康審査については自己負担金額が同額となっていることや健診項目についての改善が見られません。また、高い保険料の ため払いたくても払えないという声に応えるために基準外繰り入れを要望してきましたが、3億2895万9千円と昨年より金額が減っていることから反対で す。
議案第39号 土地造成事業特別会計について
スカイタウンつつじヶ丘の対策のため借入金の最高額を64億円に定めるもので、先に述べた議案第35号の理由により反対です。
議案第41号 住宅改修貸付事業特別会計
議案第42号 住宅新築資金貸付事業特別会計および
議案第43号 宅地取得資金貸付事業特別会計は前年度繰上げ充用金がそれぞれ、1億500万円、5億5489万4千円、2億1784万5千円と なっており、いずれも滞納状況の解消が見られません。新年度から回収管理組合による徴収や滞納処分の業務が移管されることになっています。公平・公正の観 点や市の責任を丸投げするようなやり方には賛成できません。
議案第44号 駐車場特別会計について
年々赤字が増え、特に今年度は大幅に増えていますが、漫然と状況を継続させるのみでこれといった解決策も見当たりません。一般会計からの繰り入れ こそしていませんが、そもそも、この事業が、市民生活にとって真に必要な事業であったかどうか疑問であり、赤字の積み増しはその結果であるといわざるを得 ません。したがって反対するものです。
議案第46号 下水道事業特別会計について
昨年度の収支状況は、単年度黒字となっていますが、それは昨年、利用料金を引き上げたことによるものです。他都市との比較においても下水道事業が 大きく遅れていることは特別会計の財政を困難にしている原因の一つです。しかし、一般会計からの繰り入れによってさえ、その会計が安定的に運営できないの は、初期投資に莫大な財政を伴う事業でありながら、国の負担額が少なすぎるなど、そもそも構造的な矛盾を抱えていることが最も大きな要因といえます。その 改善を抜きにして、利用料の値上げにより財政構造を改善させることは、市民の大きな負担となるため反対です。
議案第50号 介護保険事業特別会計について
今年度の予算は第4期の保険料改定を盛り込んだものとなっています。低所得者への配慮や基金の取り崩しによる値上げの防止など一定の努力を評価するものですが、そもそも値上げそのものが市民にとって家計を大きく圧迫することから反対するものです。
議案第51号 後期高齢者医療特別会計について
この制度そのものに大きな問題があり、廃止を求めていることからも反対です。
議案第52号および
議案第53号 水道会計、工業用水道会計について
大滝ダム負担金は全体の公債の割合において、上水14%、工水43.5%と大きな割合を占めています。水道事業では昨今の使用料による収入減が続 いている中、この負担がゆくゆくは市民負担の原因となることが懸念されます。国のやり方をそのまま受け入れるのではなく、多目的ダム法の改正など、負担金 軽減のため、国に対してさらに積極的に働きかけるべきです。また、有収率は現在78.7%と年次計画に掲げた数値目標を下回っているにもかかわらず、漏水 防止対策費が削減されています。市民との約束であり最優先課題とも言える有収率向上対策が不十分であるということなどから反対です。
議案第60号 市長等の給料の特例に関する条例改正について
特別職はともかく、一般職の賃金カットは市民の懐を暖め、内需を拡大することで経済活動の大本を転換させるという可能性を狭めるものです。人事委員会においてもすべきではないとの意見が付されました。したがって一般職員の給与カットについては賛成できません。
議案第63号 財務に関する条例改正について
市税などの滞納に年14.6%の延滞金を課す際、1000円未満の端数を切り捨てるという内容ですが、全ての市税を始めとする市の歳入分へ一律に高い延滞利率をかけようとするものであり反対です。
議案第64号 手数料条例の改正について
建築確認申請などに伴う手数料を引き上げるということですが、引き上げなければならない合理的理由が見当たりません。自治体の裁量で決定できる料 金体系ならば、それを据え置き、他の自治体との比較において安価であるという優位性を持たせることもできたと考えられることから反対です。
議案第65号 国民健康保険条例改正する条例について
介護納付金の賦課額の上限をこれまでの9万円から10万円にする内容を含んだもので、これに伴い国保料の最高限度額が68万円から69万円となります。一部の方の増額とはいえ、現在でも高い国保料の引き上げは受け入れがたいと考えられることから賛成できません。
議案第67号 心身障害児福祉年金条例の改正について
市独自の心身障害児福祉年金の支給を08年度から、国制度の特別児童扶養手当受給者と市民税所得割が16万円の方とを対象外としました。さらに新年度、施設に入所している児童をも対象から外そうとする内容であるため反対です。
議案第70号 和歌山城条例の改正について
和歌山城の手数料を引き上げようとするものですが、値上げの根拠に合理性が見当たりません。値上げ分は改修・補修に当てるようにするという説明で したが、本来、改修・補修については手数料に頼るべきではありません。市民や他都市の方々にできるだけ気軽にたくさん来てもらい、和歌山城を知ってもら う、観光振興や文化の向上という観点からも安価な手数料に抑えるべきで、市の施策から見れば値上げは整合性を欠くものです。
最後に給食費の値上げについて一言申し上げます。
給食費の値上げは保護者の経済的負担を増やすことにつながります。家計に占める教育費の負担の重さがクローズアップされており、経済格差や貧困化 がそれに拍車をかけています。今こそ保護者負担の軽減が求められている下で、せめて給食費は据え置くべきであるということを指摘いたしまして反対討論とい たします。
以上