東日本大震災の瓦れきの受け入れについて

「東日本大震災に伴い発生した瓦れきの受け入れに関する決議」について

2012年3月22日 日本共産党和歌山市会議員団

本日、2月定例市議会最終日に提出された標記決議について、日本共産党和歌山市会議員団は、他の会派とともに、提出者に加わり決議に賛成しました。
「瓦れき受け入れ決議」に賛成をした理由は、この決議により、国の無責任な瓦れき処理の地方自治体への押しつけを許さず、市に対しては安全基準を守らせるための歯止めをかけることができると判断したからです。
本決議は、『本市に対し、(1)科学的な知見により放射能の影響を検証し、放射線量の測定等十分な体制を整えるとともに、(2)現在、本市が処理している通常の廃棄物と判断されるものについては受け入れるよう決議する』と、市に2点について要望しています。
私たちは、被災地に寄り添い瓦れき処理に協力することと市民の健康・安全を守ることをどのように進めるかということを市会議員団会議で繰り返し討議を重ね 考えました。この決議については、放射能汚染を心配する市内外の方から「反対してほしい」との要望が、市議会にも私たち議員団にも寄せられました。今後 は、この決議を市が誠実に受け止め、放射線量の測定と、決議に沿った判断が正しく行われる体制を求めていきたいと思います。同時に、国、東京電力に対して は日本共産党国会議員団と連携し、放射性物質で汚染された廃棄物の基準、放射線防護対策の抜本的な見直しと強化を引き続き求めていきます。
なお、東日本大震災で発生した瓦れき処理に対する日本共産党の見解は、3月18日付けしんぶん赤旗日刊紙に掲載されました。その要旨は、

①災害がれきの処理は復興の大きな障害になっていること
②がれき処理を被災地だけで行うことは困難
③最大の障害は,政府が放射性物質への対策を真剣に行っていないこと
④政府が自治体に処理させようとする放射線量の基準はとんでもないこと
⑤「広域処理」にあたっては、政府がこうした基準や対策を抜本的に見直して,住民の納得を得るとともに、受け入れ自治体に対しては財政面を含む全面的支援を行う必要があること
を指摘しています。


発議第2号

東日本大震災に伴い発生した瓦れきの受け入れに関する決議案

東日本大震災に伴い発生した瓦れきの受け入れに関する決議をするものとする。

平成24年3月22日提出

提出者 和歌山市議会議員
尾崎 方哉
北野  均
松本 哲郎
森下佐知子
山本 忠相

東日本大震災に伴い発生した瓦れきの受け入れに関する決議案

平成23年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0を記録する大地震が東北地方太平洋沖で発生し、それに伴う巨大津波の発生が、福島第一原 子力発電所への破滅的な損害初め東日本の沿岸地域を中心として甚大な被害をもたらし、現在に至ってなお被災地の住民が耐乏生活を余儀なくされている。

このような悲惨な事態を打開するため、我が国各地の方々はもとより世界各国から救援の手が差し伸べられ、被災地の復旧と復興に向けて取り組んでいる。

本市でも、消防職員による救助は言うに及ばず、飲料水の供給、医療関係、行政関係職員の派遣や救援物質、義援金の提供、あるいは被災者の受け入れなど、さまざまな方面から復興支援に取り組んできた。

しかしながら、被災地の復旧、復興への大きな障害となっているのが、この大震災に伴い発生した膨大な瓦れきの処理について全国の自治体に対して協力を呼びかけているが、受け入れの進んでいないことが実情である。

このまま全国の自治体の協力がなければ、この先長年にわたり瓦れきがそのまま放置されることになりかねず、被災地の方々の苦悩を思えば、また被災地の一日も早い復興を願う私たちの思いをかんがみれば、今こそ我が国国民の協力をもって瓦れき処理に当たるべきである。

関西広域連合の声明では、和歌山県は大阪府とともに岩手県の瓦れきを受け入れ、処理することとなる。

よって本市議会は、本市に対し、科学的な知見により放射能の影響を検証し、放射線量の測定等十分な体制を整えるとともに、現在、本市が処理している通常の廃棄物と判断されるものについては受け入れるよう決議する。


2012年3月18日付「しんぶん赤旗」主張

がれき「広域処理」

政府は責任をもった方策を

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東日本大震災により、ぼう大な災害がれきが発生しました。岩手県で約476万トン、宮城県で約1569万トンとなっており、それまで両県で年間に排出されてきた一般廃棄物の10倍、20倍にあたる量です。

災害がれきは、いまも山積み状態となっており、岩手県、宮城県の被災地の復興の大きな障害となっています。

放射能への対策こそ

災害がれきをできるだけすみやかに処理することは、被災地の復興にとって最重要の課題であることは言うまでもありません。

ぼう大ながれき処理を被災地だけで行うことは困難です。政府が被災地での処理能力を強化することはもちろん、被災県以外の協力を得て、「広域処理」をすすめることが必要です。政府は、その方策を責任をもってすすめていくべきです。

多くの国民が被災県のがれき処理を望んでいますが、ほとんどすすんでいない状況にあります。最大の障害は、政府が放射性物質への対策を真剣に行っていないことにあります。

福島原発事故による放射性物質の拡散は、東日本の広範な地域に及び、それは被災県も例外ではありません。政府は、被災県以外の自治体にがれき処理 を要請し、4月6日までに検討結果を求めています。「広域処理」を受け入れ先の住民の合意を得てすすめていくうえで、いま必要なことは、政府が、がれきに 放射性物質が含まれることへの対策を真剣に講じることです。

政府は、がれきのうち、特別に管理が必要な指定廃棄物は、セシウム134とセシウム137の濃度の合計で1キログラム当たり8000ベクレル以上 のものと定めています。これを超えるものは、国が処理することになっていますが、これ以下のものは、放射性物質が含まれていても、指定廃棄物とされないた め、一般廃棄物と同様の扱いとされ、まともな対策が講じられていません。

そのため、がれきの処理にあたって、焼却のさいの排気によって放射性物質が拡散するのではないか、飛灰の処理をどうするのか、あるいは、廃棄物や 焼却灰の埋め立て処分場周辺の放射線量が高くなることや、雨水・地下水などでもれださないかなどの心配が出されています。こうした懸念や不安にきちんとこ たえなければなりません。

現在の8000ベクレル/キログラムという基準は、昨年6月の段階で原子力安全委員会が「当面の考え方」として示したものに準拠して審議されただ けのものです。これは、政府の試算でも廃棄物の処理に携わる作業者に年間1ミリシーベルト近い被ばくを容認するものです。住民の健康と安全を守る立場で、 放射性物質で汚染された廃棄物の基準と、放射線防護対策を抜本的に見直し、強化する必要があります。

基準と対策抜本見直しを

「広域処理」にあたっては、政府が、こうした基準や対策を抜本的に見直して、住民の納得を得るとともに、受け入れ自治体にたいして、財政面を含む全面的支援を行う必要があります。

東日本大震災と原発事故という未曽有の被災からの復興をすすめるために、政府が本腰を入れて取り組むことを強く求めます。

以上