6月定例市議会は、6月21日から7月11日までの21日間の会期で開かれました。日本共産党議員団は、一般会計補正予算案を含め22議案に賛成 し、「職員の受給権利の縮小につながる」 失業退職手当の受給資格要件を延長することなどを含む2つの条例改定案に反対しました。議会は、市長提案の教育長の任命を、賛成22人で承認しました。市 議団は、教育長が任期途中に「一身上の理由による辞任」 は市民の理解が得られないとの立場から反対し、反対者は15人になりました。また市は、「官製談合」 の疑いを指摘されたのを受けて救助工作車契約案を撤回しました。
日本共産党議員団は、5人全員が一般質問に立ちました。主な内容を紹介します。
<大滝ダム>市民負担 国から追加工事費 9億5,200万円!
国のずさんな計画変更で 当初 230 億円が3、640億円の事業に
森下 さち子市議

写真説明 大滝ダムの現地調査をする県議団・市議団(06年5月)
国は、大滝ダムの新たな地すべり対策の追加工事で160億円の負担金を求めてきました。大滝ダムは、09年(平成21年)完成をめざして奈良県川 上村の地すべり対策工事を進めてきました。72年(昭和47年)に基本計画を策定以来今回で6回目の計画変更で総事業費が当初230億円から3、640億 円、市民の負担は217億1、200万円にふくらむことになります。問題は、国が当初から専門家などに指摘されていた地すべりの危険性を十分検討しなかっ た判断の甘さにあります。また、「追加負担」 を自治体に義務づけている多目的ダム法に問題があります。市議団は昨年5月、地すべり対策の工事をおこなっている大滝ダムの現地調査(写真)に行ってきま した。
市長は「払わない」との姿勢を堅持し国に毅然と対応を
市長は、今年2月に追加工事の可能性が新聞で報道されたさい、市議団の質問にたいして「追加負担には応じるつもりはない。国にたいして県や橋本市と連携して対応する」 と答弁。市議団は、今回国から新たな追加負担を求められたことにたいして市長の対応を質問しました。
市長は「国に追加負担は困難でできないと申し入れている」「国から協議を求めれている。市民の生活の上で最善の策を探っていく」 と答弁しました。
【全会一致】「追加事業費は国の責任において実施を」 議会意見書を採択
市議会は、全会派が一致して「大滝ダム建設に関する基本計画の変更に対する意見書」 を採択しました。意見書は国の関係機関に提出されます。意見書では、「追加工事を発生させた国土交通省の責任は極めて大きく、かつ今回の事態は同省の基本 的判断と対策の誤りが招いた結果である」「使用権設定の関係自治体に負担させることのなきよう強く要望する」 としています。
介護など福祉施策の充実を求める!
南畑さち代市議
6月の納付通知を受け取った市民があまりの負担増に怒り驚いている声を紹介して、05年の政府の一連の税制改悪(定率減税の廃止、老年者非課税措置の廃止など)によって、市民負担は、どれだけ増えたか、負担にみあう福祉施策の充実を求めて質問しました。
市の答弁で、05年度と比較して、06年度で13億2、400万円、07年度で22億8、100万円、2年間合計で36億500万円にも増えたことが明らかになりました。
市長は「高齢者福祉に全力で取り組んでいく」 と答弁しました。
<介護保健>市独自の軽減策へ 他市では一般財政から繰り入れ!
介護保険料や利用料の市独自軽減策をはかるため一般会計などから繰り入れていること、また36億500万円もの負担増にみあう福祉施策の充実を求めました。
市は、「利用料の独自軽減策を行っている中核市は一部あるが、制度上困難」 であるとのべました。
国保料の値上げやめよ 軽減策は36市中26番目の低さ
後みつる市議
国民健康保険料を市は今年値上げしました。市民生活に大きな影響を与えます。たとえば、所得200万円の3人世帯の場合、保険料は年間38万7、420円で所得の2割近くが保険料となります。
市議団は、市にたいして保険料の値下げや減免枠の拡充を求めました。とくに、中核市比較でどれだけの自治体が、独自の施策を行っているかのバロメーターで もある「国保会計への法定外繰入金」 を比較。一人当たりに換算すると和歌山市は、全国の36中核市のうち、26番目に低いことが明らかとなりました。市は、「国保会計は、累積赤字があるた め、軽減策はできない」 と答弁しました。
一人当たりの繰入金は、和歌山市が665円で近畿平均の3、643円の5分の1です(表参照)。
市の2割減免制度を3人世帯から1人や2人世帯に広げるための予算は1、800万円ですが、近畿平均に少し近づけるだけでできます。社会保障制度として国保を運用することを強く求めました。
【5月臨時市議会】<金持ち優遇減税>3億5,280万円も
=市議団は、市条例に反対=
市議団は、5月28日臨時市議会最終日に「金持ち優遇税制」 を継続する市税条例改定案に反対しました。この条例は、上場株式等の配当、譲渡益に対し、本則税率20%のところをひきつづき10%の軽減税率にすえおこ うとするものです。2003年から5年間の時限措置でしたが、経団連などの圧力で政府が継続を決めたことにともなう条例の改定です。これにより、市税への 交付金収入が3億5、200万円減額となります。この恩恵をうけるのは、主に大資産家です。
庶民大増税の一方で「金持ち優遇税制」 を継続する条例改定には反対しました。
「医療系ふくむ産廃処理計画」策定協 10月に発足へ !
「怒りと不安」の住民の声を無視 市が青岸産廃の申請を許可
大くさ主馬市議
青岸産廃建設問題の経過をたどりながら、市が5月に建設申請を許可した問題をとりあげ、許可した理由、自治会への対応、医療系廃棄物処理計画の進捗状況、関係機関との話し合い、地元住民が参加する協議会の発足、大気汚染、水質汚濁などの測定について市に質問しました。
とくに、市議団は、全市的論議で市が「医療系廃棄物」 の処理計画をもちそのなかで産廃処理場建設問題を解決すべきであると繰り返し提案してきましたが、市の申請許可は、住民不安に全く応えず許しがたいと指摘しました。
市は、医療系廃棄物の具体的処理計画をもっていませんが、協議会を10月に立ち上げると答弁しました。また、「和歌山市大気測定局適正配置検討事業」 を07年度から実施し「ダイオキシン類」、「青岸地域の工場など発生施設」 の測定も行っているとの答弁がありました。
イノシシなど鳥獣被害(東山東など全市に拡大)対策の充実を
森下さち子市議
和歌山市内の岡崎地区をはじめとする東山東地域で発生しているイノシシなどによる鳥獣害対策を市に求めました。市は、農業経営を脅かし生産意欲を 欠くことから、鳥獣保護区でも有害捕獲を行い常時捕獲が可能な「予察保護」 を実施しているが、さらに「弾力的に運用」 してゆくと答弁しました。
「生産緑地制度」実施1年 農家で歓迎!
長野市の15倍の25ha
渡辺ただひろ市議
市議団が、03年に議会で提案しその後求めてきた、生産緑地制度が昨年から導入されました。この一年間での実施状況、今後の改善点、とくに全農家 に制度の周知徹底をはかることを求め質問しました。この中で、142件の申請にたいして、72件を指定。約25haにひろがり、すでに実施されている長野 市の面積比で15倍にあたること、また多くの農家のみなさんから歓迎されていることも明らかとなりました。
市長は「農地の持つ緑地としての機能や雨水調整や災害時の避難地などとして多目的保留地として良好な都市環境の形成にとって制度が重要である」 と述べ、またまちづくり局長は「農業関係者の方々に制度普及」 に取り組むと答弁しました。
救急医療の小児科医充実!
子育て世代に朗報【和歌山市】
和歌山市は、夜間・休日応急診療時間を延長する議案が可決され10月から実施となります。日本共産党市議団は、市民が強く求めている小児科医の配 置を毎年、予算編成で要求してきました。市は、小児科医とともに、内科医も平日を除き午前6時までの延長をあわせて提案。これにより救急医療の充実が図ら れることになり子育て世代におおいに歓迎されています。
決議・意見書を市議団が共同で提案
「大滝ダムの建設に関する基本計画の変更に対する意見書」を全会派一致で採択
主な内容は、平成16年3月、第5回の計画変更時において市議会が議決した意見書(今回の追加工事によっても、ダムの湛水で地すべりは起こりえ得 ないという保障があるのかいまだ証明されておらず、ダムの供用開始の見通しがつかないまま、地元の負担ばかりが増えるという事態になりかねない)での警鐘 が再び現実となった。追加事業は、国の責任で実施されたいというものです。
「旅田卓宗議員の辞職を勧告する決議」を多数で採択
主な内容は、「和歌山市長在職中に着手した事業で、収賄と背任の罪に問われていた旅田卓宗議員に対する控訴審判決が、7月2日大阪高裁で行われ、 控訴棄却の判決が下された。一審につづき二審も有罪判決が下された。市民の市政に対する信頼と信用を大きくゆるがせ、かつ失墜させたことから、本議会は、 議会の権威と品位にかけて、即刻辞職を勧告する」 というもので市議団は提案者になりました。
【意見書】「道路特定財源の堅持を求める」反対しました。
多数で採択
反対討論の要旨は次のとおりです。
道路特定財源が創立された1954年当時の国道・県道舗装率5%から、04年度現在では、97%に達 しており当初の目的は達成されています。昨年の閣議決定による見直しは、08年度に持ち越しされ、本年度の国分は(道路特定)3兆4、076億円の内1、 806億円のみが一般財源にとどまりました。
地方財政が政府の三位一体改革で地方交付税の削減などで、和歌山市においてもマイナス8億9、445万円となっており、国保や介護保険特別会計も保険料の引き上げや利用料の減額措置がとられていない要因となっています。
地方自治体の財政危機、社会保障の後退に歯止めをかけるためにも一般財源化すべきです。また当然必要な道路の整備も一般財源を活用して進めることができます。採決では、市議団の5人とほか2人が反対しました。
自給率向上のためにも「地産地消」を進め、学校給食の全面和食化をめざし、「コメ粉パン」の導入を図るよう提案しました。
6月11日、日本共産党市議団は市長に次の要望書を提出しました。
答弁
昨年11月、和歌山市は廃棄物対策審議会にごみ有料化のあり方および実施方法・時期について諮問をしました。
スカイタウンつつじヶ丘の分譲地が計画通り売却できていません。たとえ全部売れたとしても、200億円をこえる赤字が残ることが分かっています。このうち 教育用地として確保していたところを新たにサッカー場あるいはテニスコートとして整備するという予算が、突然新規事業に計上されました。2015年度に行 われる国体を見通して計上したといいますが、あまりにも唐突であり、財政難といって福祉や教育の扶助費を削減していることとの整合性がありません。今でも 少ない教育予算でこれまでの失政の付けを穴埋めするものと言わざるをえません。
2月当初議会は、市長が施政方針を述べた後、各会派からの代表質問が行われます。日本共産党市議団から大艸主馬市議が行った代表質問のうち「三位一体の改 革が市に与えてきた影響」、また、「『道路特定財源』と『暫定税率』についての市長の考え方」の2点についてその要約を報告します。
教育予算は、基金による学校耐震改修予算を除くと全予算の1割以下となっています。特に各学校に少額の修繕やテストの用紙などに使うため「需要費」が各校 に割り当てられていますが、年々減らされています。ある学校では天井の穴をガムテープでふさぐなどの現状を指摘し教育条件の整備のため増額を求めました。 また、真夏エアコンもないプレハブ教室の虎伏分校の施設改善も求めました。
和歌山県政の「官製談合」事件では、高値落札による税金のムダ使いが問題になりました。
旧丸正ビル再生の中心市街地活性化基本計画は、市の説明では、10月に国土交通省に事業計画を、11月中旬には申請する予定とのことです。「暮らし・にぎ わい再生事業」として空きビル再生支援のためエレベーターや階段、避難施設などの整備補助を国に申請するというものです。
今年6月、市民税課の窓口に「昨年の何倍にもなった」との問い合わせが高齢者の方から殺到しました。来年以降も国の税制改定により介護や、国保など保険料 の負担はさらに増えるためその実態を問いました。高齢者で単身者、年金180万円の方の場合、2年間で新たに約68000円も増えます。(表を参照)
市民の学びを保障するため市は「生涯学習基本計画」を策定し、施設整備と開放を進めています。その計画の中で、旧同和対策として建設された地区文化会館、児童館を生涯学習の拠点として活用することを掲げました。しかし、一般開放とは言いがたい実態があります。
JR六十谷駅のバリアフリー化に必要な市の交通バリアフリー基本構想についてただしたところ、市長は「早期に実現する」と約束しました。六十谷駅は通勤通 学など市民の利用が増えています。またエレベーターや障害者用トイレなど早急な改善を求められています。共産党が駅利用者の方を対象に実施したアンケート では段差、トイレ、駐車場、駅前スペースなど切実な内容が寄せられています。
9月議会に突然、杭ノ瀬保育所の移転・新設のためにと1億2300万円の土地購入費が計上されました。