市議会ニュース -2010年6月号-

 6月11日に開会された定例市議会は、提案された24議案について一般質問、各常任会の審議を経て賛成多数で可決し30日に閉会しました。
日本共産党市会議員団は24議案のうち国保料の最高限度額を引き上げる条例、支所・連絡所を廃止しサービスセンターを設置する条例など、市民負担の増大やサービス低下につながると思われる6議案には反対しました。
日本共産党市会議員団4人の一般質問を次に紹介します。


国保料を1世帯1万円引き下げよ!

南畑さち代市議

市長「財政が厳しいのでできない」と答弁

表  和歌山市では約6万世帯の方が国民健康保険に加入しており、加入者の約8割が所得200万円以下です。保険料は、モデル世帯(所得200万円で40歳代の 夫婦と未成年の子ども2人)で43万6820円となり、中核市比較では40市中、3番目に高い保険料です。収入が減る中、保険料が高すぎて払えない方が増 えています。
また、保険料を1年間納めないと資格証明書(10割負担)に変わり、発行数は県下でトップです。受診抑制につながる高すぎる保険料を1世帯1万円引き下げることを提案しました。
市長は「財政が厳しい中、保険料を引き下げることは出来ない」と答えました。資格証明書については、「納付相談を行い、分納約束を守っている世帯については短期証の延長などを検討し、訪問の機会を増やし、きめ細かい対応を行っていく」との答弁でした。

<こどもの医療費>中学校まで無料に!

安心して子育てができるためには、子育てにかかる経済的負担の軽減が不可欠です。新日本婦人の会和歌山県本部が取り組んだ子育て世代のお母さんへ のアンケートでは「難病や障害をかかえているので負担が大変。症状が重くなるまで病院にいくことを控えてしまうことがあり、つらい」等の切実な声もあるこ とを紹介し、全国的に広がっているこの制度の拡充を求めました。
市長は「これ以上の単独施策は困難、県に補助制度の拡充を強く要望していく」と答弁しました。


6月から「集団資源回収」はじまる

森下さち子市議

市民参加で「リサイクル率」向上へ
「資源集団回収」自治会などでスタート

「ごみ有料化の前にまず減量を」との廃棄物対策審議会の答申を受けて、今年4月から集団回収奨励金制度が始まりました。和歌山市は来年、新しい 「ごみ処理基本計画」を策定することになっています。新計画策定に当たっては、これまでごみ減量が進まず、和歌山市がワーストクラスだったことを総括し、 集団回収奨励金制度の活用など市民参加でごみ減量を進めることが極めて大切です。市長の決意や具体的な施策への意気込みを質しました。
市長は「現在のごみ減量状況は5年間の減量目標に対し総発生ごみ量は達成しているものの、リサイクル率は達成できないことから、これまでのごみ減量の取 り組みが不十分である。新計画においては、ワーストクラスから脱却するためにも他市に引けを取らない目標設定と独自策を検討する。
また、市民参加の方法の一つである資源集団回収制度は5月から受付を始めましたが100団体の想定に対し18団体と少なく周知を徹底するとともに、市民の意見をよく聞き、その声を反映させるようにする」と答えました。

<ごみの種類(組成分析)>水分と紙が多い!

職員が立会いのもと家庭系、事業系に分けて定期的に行っている組成分析は和歌山市のごみの現状を知る上で欠かせません。分析の結果、水分量が多いことと再資源化できる紙類が多いことが分かりました。
組成分析の内容を知らせ、広くごみ問題について議論できるようにするべきではないかという質問に、ホームページだけでなく市報など市民への広報を検討すると答えました。


アンケートへのご協力、ありがとうございました

資源集団回収が始まるのに先立ち、自治会長さんあてにアンケートに取り組んだところ、多くの回答が返ってきました。自由に記入していただいたご意見の中から一部をご紹介いたします。
なお、ご協力くださったみなさんにこの紙面をお借りして、お礼申し上げます。

○集積場所がない
○回収作業や管理の体制がない
○分別を徹底するようにしたい
○集団回収の意味をもっと分かりやすく説明して欲しい
○費用対効果はどうなのか
○市民への協力を促進することが必要ではないか
○集団回収はごみ減量に有効な施策だと思う


文化財保護を!「開発規制」求める

渡辺ただひろ市議

 和歌山市では都市開発に関して、都市計画法等さまざまな規制法により対応しています。しかし、県・市が指定する「埋蔵文化財包蔵所在地」指定地区や宅地造成に関しては管理担当課が異なるため、宅地造成などにおける違法行為がしばしば見られます。
和歌山市では「埋蔵文化財包蔵地指定」された山林が、開発事業者によって埴輪製造窯跡、古墳などが崩壊する事件が発覚しました。違法行為、乱開発を未然 に防止するためには「電子データシステム」が有効です。これは市庁舎内すべての部・課、宅建業者、市民から指定番地をクリックすれば、当該番地の法規制内 容が確認できるというシステムです。和歌山市でも導入するよう求めました。
市長はこれに対して検討すると答弁しました。

(左)包蔵地所指定外から発見された金製耳飾。 (右)包蔵地所指定外から発見された古墳遺物と鉄塊の写真。 いずれも写真は渡辺忠広撮影。

(左)包蔵地所指定外から発見された金製耳飾。
(右)包蔵地所指定外から発見された古墳遺物と鉄塊の写真。
いずれも写真は渡辺忠広撮影。

<責任水量制>安い工水料金を適正に!

和歌山市は工業用水道を各企業へ送っていますが、責任水量制を取っている住友金属等は他市の鉄鋼各社の平均の62%とかなり低料金となっています。この価格は16年間見直していないため、適正価格にするよう求めました。水道局長は「検討する」と答弁しました。
また、紀ノ川上流に建設中の大滝ダムは、市水道局が一定の割合で負担をさせられていますが、その負担金は全て政府系金融機関からの借り入れで賄っている ため、市中銀行の融資に比べて5~7%と高金利です。高い利率の借金を一括返済し利息を軽くするためにも、国に対して繰上償還を求める意見書を市として上 げるべきだという質問に、市長は「大滝ダム負担金、高金利が水道行政に負担となっているので意見書を上げたい」と答弁しました。


<意見書>全会一致で可決

[自閉症の理解と啓発に関する意見書]は、自閉症児の生活実態を把握し必要な支援体制を講じるよう求めるものです。

[水源地保全に向けた法整備に関する意見書]は、水源地の地下水を「公水」としての理念を構築することや水源地保全のための林業振興策など国に法整備を求めるものです。


旧同和行政ただちに終結を!!

大くさ主馬市議

「公平・公正を十分とれていない」!!
「旧同和行政」へ市長が認識を明らかに

国(総務庁 当時)は同和対策の終結にあたり、①特別対策は本来時限的なもの②特別対策をなお続けていくことは差別解消には必ずしも有効でないこ と③人口移動が激しい中で同和地区、地区関係者に限定した施策を続けることは事実上困難であることの3点を明確にし8年前に特別法は終結しています。とこ ろが、和歌山市は個人給付的事業として保育料・固定資産税・国保料の減免を3年間継続し、住宅については現在も家賃減免を行い、入居についても一般公募を していません。
市長は先の2月議会で「他の施策との公平・公正性が十分に取れていないところもある」とその不正常さを認めましたが、この認識はいつ持つようになったのかについて質しました。
市長は「2002年8月市長に当選後、議会でこの問題について質問を受けたとき」と実に8年前から不公正さを認識していたことを示しました。

「ゆがんだ住宅施策」市長は継続を表明

同和住宅にだけ設けられている家賃の減免、エレベーター管理人報償金、駐車場は整備をして車を置いているにもかかわらず、長く料金を徴収していま せんでした。また子ども会への高額な補助金は交付の仕方を見直す必要性を包括外部監査や市監査委員からも指摘されています。市の施策全体から見て整合性を 欠くこれらの事業については直ちに廃止するよう求めました。
市長は「今後必要と思われる施策については、多くの市民の理解を得ながら継続して取り組む」と基本的には廃止しない旨を答弁しました。