市議会ニュース -2010年2月号-

 2月23日から開会された2月定例市議会は、2009年度最終補正予算、2010年度予算について、それぞれ提案されたすべての議案を賛成多数で可決し、3月19日閉会しました。
日本共産党市議団は2009年度最終補正では提案された37議案のうち30件に賛成し7件に反対しました。また、2010年度予算では提案された35議案のうち20件に賛成し、15件には反対しました。反対討論の詳細はこのページの下段をご覧下さい。


旧同和行政は直ちに廃止を

南畑さち代市議

市長「公平・公正性が十分取れていない」と答弁

国の特別法は7年前に終結していますが市は今も独自策を続けています。例えば旧同和住宅の家賃減免のための予算は年間3億6000万円で、最大6 割もの減免がされています。市は住宅内の駐車場料金を徴収せず長年にわたって放置しています。また、エレベーター管理人報償金制度は旧同和住宅に限って 17人に年間総額1140万円支給しています。地域子ども会は同じ活動内容であるにもかかわらず補助単位を細分化し多額の補助金を受けているのではとの疑 問の声もあります。これらの事業に対して、市長は公平・公正の観点から不公平との認識はないのか、また、旧同和対策事業の終結・廃止について質しました。
市長は「公平・公正性が十分取れていない」、「他の施策との整合性が十分取れていない」と認めつつ、「施策の必要性の有無や廃止の時期を十分検証し対応する」と答えました。

平和市長会議への加盟を検討

広島・長崎の市長が世界の市長に核兵器廃絶のための「平和市長会議」の参加を呼びかけていることから、市長に参加の意志を尋ねたところ、「加盟を検討する」と答弁しました。


09年度最終補正予算に対する反対討論

昨年度に続き、今年もスカイタウンつつじが丘の緑道購入費4億9900万円余が計上されました。市が開発した道路を市自身が購入するという手法はつまり一般財源で赤字の穴埋めをしようとするものです。
また、15年前に土地開発公社が小倉自治会館の移転を目的に先行取得していた土地を貸地として有効利用しようと予算計上しましたが、2年間1件の応募者もなく6540万円余が減額されました。いずれも市の失策を市民の税金で賄おうとするもので、賛成できません。

10年度当初予算に対する反対討論

最終補正で減額した小倉地区の土地の有効利用を図るとして、新年度は3度目となる土地購入費6600万円を計上しました。改良住宅立て替え費用2 億3500万円は東和・東和第2団地ですが、建設年度の古い団地や安全面に問題のある団地は他にもあり、優先して立て替えなければならない根拠が示されま せんでした。体育振興費としてテニスコートの土地購入と整備のための29億円はスカイタウンつつじヶ丘の赤字対策としての事情によるものです。
一方、財政難を理由に民間委託を進めながら、小学校給食の調理器具や修繕費用などは切り詰められており、教育予算が極めて不十分です。


農業支援の政策を提案

渡辺ただひろ市議

市長「種苗施設の建設費を支援する」と答弁

政府は今年から農家の米減反協力を前提とした「戸別補償制度」を設け10アール当たり15000円を支給するとしています。しかし、『米の輸入自 由化』以降、米価の低迷は著しく戸別補償されたとしても赤字を免れません。米は主食であり農地の持つ機能から見ても、減反せず、安心してコメを作れるよう な支援を求めました。
①農家へ種もみ、「箱苗」の支援を
市長は「JAの移転による種苗施設の建設費を支援することでコストを引き下げ、農家の負担軽減を図る」と答えました。
②作物の販売仲介に行政の支援を
『戸別補償制度』を使うためには事前に販売先を決めておくなどの条件があります。行政が仲介支援をすることで制度の内容を知らせ、利用を広げることができます。
市長は「交付金を最大限に利用できるよう仲介支援体制を作る」と答えました。
③新規就農者の支援を
新規に農業を始める方の支援には研修費、家賃補助、職員採用など様々な方法があります。市長は「効果的な施策を精査し市の独自支援策など事業を検討する」と答えました。
④豪雨被災へ「共済制度」の創設を
昨年11月の豪雨により路地植えの野菜が甚大な被害を被りました。見舞金や共済の制度を検討することを求めたところ市長は「必要性を認識している。県を始め関係機関と連携し検討する」と答えました。

無料職業紹介所の開設を検討

渡辺ただひろ市議

市長「ハローワークと協議し利便性を図る」

05年3月、職業安定法が改正され、厚生労働省へ事業申請すれば市として職業紹介ができるようになりました。大阪府和泉市の先進的な無料職業紹介・斡旋事業の実績を紹介し、和歌山市でも求職者支援事業の窓口を設置するよう求めました。
市長は「市の相談窓口でパソコンを使ってはハローワークの求人情報を検索できるようになれば便利になる。ハローワークと協議し検討したい」と答えました。


意見書(主なもの)

【議員定数見当特別委員会の設置】
【ヒブワクチン及び肺炎球菌ワクチンへの公費助成・定期接種化を求める意見書】

この二つは、全会一致で採択されました。

【定住外国人へ参政権を付与することに反対する意見書】

日本共産党市会議員団は、「憲法第15条は参政権付与を禁止するものでない」としている判例や定住外国人の地方行政へのかかわりなどから、当然、参政権は付与されるべきものであり、この意見書には反対しましたが、賛成多数で採択されました。

学校給食の民間委託、4月実施を見送る請願

和歌山市「考える会」が提出

『高松小学校・小倉小学校・雑賀小学校の給食の民間委託について4月実施を見送ることの請願』が「和歌山市学校給食を考える会」より提出されていましたが、一般会計予算が賛成多数で可決されたことによってみなし否決とされ、不採択となりました。
日本共産党市会議員団は一般質問や常任委員会において、民間委託についての是非を審議し請願には紹介議員になり奮闘しました。


安心・安全の学校給食を

森下さち子市議

食缶の老朽度を調査し買い替えを進める

財政難を理由として給食にも民間委託化を進め、人件費を削減している中で安全・安心の保障となる器具や設備が極めて老朽化しているにもかかわら ず、買い替えが進んでいないことが明らかとなりました。特に共同調理場など大量に調理し運搬しなければならないところでは、量に合わせた調理設備や子ども 達が食べるまでに出る時間のロスに対応できる食缶でなければなりません。保温食缶は1個3~4万円かかります。1学年ずつ買い替えるためには40万円必要 ですが、2年続けて13万円しか予算化されませんでした。傷んだ食缶や保温に適さない食缶の実態をパネル写真で示すと市長は「設備や備品には配慮するべき だ」と答えました。

紀三井寺団地バス路線の復活を

大くさ主馬市議

市長「事業者へ働きかける」と答弁

公共交通の現状と役割について、市長の見解を質すとともに最近、廃止となったバス路線について対応とその結果について聞きました。また、紀三井寺 団地のバス路線が廃止されたことについて、「紀三井寺団地公共交通問題を考える会」で求めている「マリーナシティ行きのバスを紀三井寺団地へ迂回させて欲 しい」という案の実施を求めました。
市は「路線の復活が望ましく、事業者にも要望を行ってきたが、今後も粘り強く働きかけたい」と答えました。


<学校給食民間委託>入札「談合疑惑」を追及

3校とも南陽食品が落札

表  4月実施予定の雑賀・高松・小倉小学校の民間委託業者は2月5日、一般競争入札で決定しました。入札方法は教育委員会が決定し、調達課が実施しましたが、 その際の最低制限価格は公表されていません。開札調書(左表、入札結果)には僅差の数字や1円単位まで同額の数字が並ぶなどのことから入札「談合疑惑」を 質しました。
教育長は「入札は厳正に行われた」と答えましたが、なぜ一般競争入札を選んだのか、業務内容をプレゼンすることは考慮しなかったのかという問いには明言を避けました。
さらに最低制限価格が公表されていないにもかかわらず、その数字が類推できるとしたことについて矛盾を指摘すると市長は「私も一定の不自然さを感じたので再度、精査させたが、現在のところ不正は見当たらなかった」と答えるにとどまりました。


党市議団の提案と市民の共同で要求が実現<2010年度予算に反映>

10年度当初予算や条例改定などで、資源ごみの集団回収、生産緑地の拡充、国保2割減免の拡充、学童保育の拡充など多くの施策が盛り込まれました。これは、市民のみなさんが粘り強く求めてきたこと、また党市議団の議会提案が実ったもので、その主な事業は次の通りです。

<学童保育>増設と6時まで時間延長に

学童保育を受け入れる施設整備の遅れから待機児童が生まれています。空き教室では対応できない学校にプレハブの学童保育所室(2校)をつくり、また4月から計画的に6時まで保育時間の延長がされます。指導員の待遇改善も実施されます。

<国保2割減免制度>1人世帯にも拡充

市独自の施策である低所得者への国民健康保険の2割減免制度は、これまで3人世帯以上が対象でしたが、1人世帯と2人世帯に拡充されることとなりました。市の試算では、対象世帯数は約10倍に拡充されます。

<特定健診>2000円負担が無料化に

特定健診は、現在2000円が必要です。無料化実施が広がる中で、受診料負担が、和歌山市の受診率の低下の要因の一つでもありました。医療関係者からも無料化を強く求められていました。無料化実施ととも、心電図検査等も新たに加わります。

<ごみ減量審議会>市民参加で新設

和歌山市は、廃棄物全般を扱う審議会と別に、ごみ減量を扱うため新しく市民参加(公募含む)の「ごみ減量審議会」を新設することになりました。
11年度にかけて市の「ごみ減量基本計画」を改定するための審議を行なうものです。

<資源ごみ集団回収>奨励金制度を実施

資源ごみのリサイクルに有効な施策である集団回収を実施します。
それにともなって、市は、古紙や缶の集団回収に1キロ3円の奨励金を支給する予定で要綱を準備中です。

<生産緑地制度>適用要件を緩和

市街化区域の農地は宅地並みの固定資産税負担となりますが、生産緑地に指定されると農地としての課税になり、適用を受けた多くの農家の方々から営農支援になると歓迎されています。
4月から指定要件の「隣接する公道4m」が1・8mに緩和され、指定拡大につながると期待されます。