市議会ニュース -2009年6月号-

 6月18日に開会された6月定例市議会は補正予算、条例など提案されたすべての議案が賛成多数で可決され7月7日に閉会しました。
日本共産党市会議員団は提案された23議案のうち4議案に反対し19議案には賛成しました。
なお、議会最終日の7月7日、本町地区住民から提出されていた「ミニボートピア設置反対の請願」は賛成20票、反対18票で採択されました。


<ミニボートピア設置計画>設置事業者の無責任さが明らかに

市長「事業者は説明責任を果たしていない」と答弁

渡辺ただひろ市議

 施設設置事業者は4月9日、市長に対して同意を求める「同意書」を提出しました。「同意書」に添付された「事業計画」は、昨年・今年と本町地区住 民に説明した内容とは異なるもので7箇所も修正、削除されていました。その内容はナイター営業の日数、営業時間、一日あたりの来場数と売上金額、地元雇用 者数、駐車場の借り上げ、シャトルバスの運行です。「事業計画」の変更・削除は単なる数字の違いではなく、事業の根幹にかかわるものであることから、市長 に同意を求める前に住民に説明することは事業者としての責任であることを指摘した上で、説明会は開催されたか質しました。
また、多くの住民、団体から出された施設設置反対の意思を尊重することこそ求められるのではないかと市長の認識について質しました。
市長は「事業者は十分な説明責任を果たしたとは言えない」とした上で「住民のみなさんのご意見を重く受け止める」と答えました。
また、市長は「6月4日施工者代理人が市を訪問し、代理人が『周辺自治会の同意』という条件をつけてボートピア設置を協定振興会に要請していたのに、和歌山市へは知らされなかった」ことを明らかにしました。

加太駅に駐輪場を

―設置を検討

渡辺ただひろ市議

 南海加太線の8駅のうち、駐輪場のない駅は加太、磯ノ浦のみです。加太駅は駐輪場がないため、ほぼ毎日60台を超える自転車や単車が県道、道路側 溝、駅近隣の民家付近などに放置されています。加太は観光地であり、その玄関とも言える加太駅に駐輪場を設置するべきではないかと質したところ市は「設置 を検討する」と答えました。


支所・連絡所の窓口業務は存続を!

森下さち子市議

 2010年10月から市内7ヶ所のコミュニティセンターにサービスセンターの機能を持たせ、現在、支所・連絡所で行っている窓口業務(住民票、印 鑑証明、国保など)を移行させようとしています。現在、歩いて行けるところにある支所・連絡所を7ヶ所に集約するのは、地域的偏りが懸念されます。また、 市の解決策として交通弱者の方への代行業務を予定していますが、手続きが煩雑であることやタイムラグが生じることなど、今後の混乱も予想されます。宮地区 など世帯数が多いところは、支所・連絡所を存続させてほしいと望む声も多く、住民の署名活動も始まっています。一律に廃止せず、市民の声に応えるべく再検 討することを求めました。
市長は「代行業務は窓口業務の一部に過ぎないことからご不便をおかけすることは事実ですが、どうかご理解を」と答えました。

母子加算の廃止は生存権の侵害

―市の独自策で救済を

森下さち子市議

 国は生活保護受給者の母子世帯に出されていた加算を段階的に廃止し、今年4月から全廃しました。生活保護を受けていない母子世帯の生活水準と比較 するのではなく、生活水準そのものに目をむけ、憲法25条に明文化されている生存権や健康で文化的な最低限度の生活を保障することこそ必要です。
就労支援や小・中・高校生への就学支援などの新たな給付も作られましたが、病気などで就労が困難世帯も多く、就労支援ということだけでは不十分です。
北海道の東川町では福祉給付金8000円を母子加算廃止を補完するものとして3月議会に提案、可決され4月から支給されています。母子加算の金額には及 ばないものの、せめて頑張っている母子世帯への支援策だということでした。和歌山市でも何らかの支援策を講じるよう求めました。
市長は「母子加算が廃止されたことにより、経済的な負担が増えることは理解できます。新たな支援策において一定の救済策が講じられており、市独自の対応については国の動向を見守りたい」との答弁でした。


交通弱者へ交通網の整備を!

南畑さち代市議

 和歌山市では高齢化が進む中、交通弱者が増加しています。また、昨年からバス路線の廃止により通院等に多大な経済負担がかかり困っている方々もい ます。市の長期計画の中で交通弱者に対し利便性の向上をどう位置付けているのか。需要実態を把握することについて、また、事前に予約して利用するデマンド 方式の乗合タクシーの実現についての考えを質しました。
市長は「交通弱者の移動手段を確保する施策は必要だと考えています。新たな事業を始める際、交通弱者の方々の実態調査は重要ですが、まずは既存のバス事 業者を活かす形で交通網の維持を図ります。デマンド方式については、他の方法も含め地域にあった方法を検討します」と答えました。

<介護保険>新認定調査で軽くなる?!

南畑さち代市議

 今年4月から新認定調査が始まりました。しかし、厚労省はすぐさま旧介護認定を使えるとする経過措置をとっています。その理由と新認定で受けた人の介護度はどう変わったのかについて質しました。
市は「認定方法の切り替え時期の不安や混乱を防止し安定的にサービスを利用するため」「4・5月の介護認定の判定を受けた人は全体で1015人。このう ち軽度の判定は192人(18・9%)、重度の判定は199人(19・6%)、このうち従来の介護度で引き続き認定した人は189人(18・6%)」と答 えました。
新認定調査で軽くなった人があり、調査項目の内容は介護保険制度の信頼性に影響するものであり、市長として国に意見を言うべきだと求めました。
市長は「検証に入っているので見守っていきたい」との答弁にとどまりました。


継続性のある経済対策を!

大くさ主馬市議

 国の経済対策として定額給付金が実施されましたが、市民にとっての景気対策は継続性があり、かつ将来の不安が解消されるものでなくてはなりませ ん。政府は異例の速さで4月に補正予算を提出しましたが、財源の多くは赤字国債の追加発行です。今年度の国債発行総額は過去最大の44兆1130億円で、 これは今年度の税収見込みの46兆円とほぼ同額であり、借金財政の極みといえます。約15兆円の補正予算の内容も大企業に対しての減税、大型公共工事など の大盤振る舞いが目立つ一方、国民に対しては一時しのぎにしかならないバラマキ的配分である上、借金のツケは消費税でというのが大きな流れです。庶民への 医療・福祉の相次ぐ負担増や高い教育費を改め、根本的な暮らしを支える対策を講じるべきだと質しました。
市長は「今回の国補正は国債などが財源とされているため、将来の負担となる面はあるものの、景気の底割れを防ぎ、生活者の痛みを和らげ安心を確保し未来 の成長に繋げるものと考えています。太陽光発電の促進、女性のガン対策の拡大など継続的に行うべき施策については経済対策として一過性のものとすることな く恒久的な財政措置を国に働きかけてまいります」と答えました。

南方熊楠と孫文の再会を記念碑に

大くさ主馬市議

 熊楠の日記に中国革命の父孫文と大英博物館で出会って以来、和歌浦で再会を果たしたと記されています。2004(H16)6月議会で「ぜひ記念表 示物を」と質問したところ、市長から「県に働きかけをして参りたい」と答弁を頂きました。その後、市長と懇談し、職員の調査研究や各団体からの要望もあり ましたが、未だ実現に至っていません。この間の経過と到達点および方針を質しました。
教育長は「観光と文化の両面で魅力をアピールできる案内板等の設置について県と協議を重ねてきました。県は2010年1月末を目途に国の指定が受けられた時点で、説明板を設置すると聞いている」と答弁しました。


ミニボートピア設置計画中止

<市議会が請願を採択>賛成20票 反対18票

2年間にわたり、粘り強く反対運動を続けてこられた住民のみなさんの願いが請願の採択という形で実を結びました。
ボートピアを設置するためには国交省の認可が必要で、3つの許可条件を満たさねばなりません。ミニボートピア設置事業者は今回の請願が採択されたことで 許可条件の一つである「議会が反対決議をしていないこと」はクリアできなくなりました。議会終了後、事業者は「市議会の決定を重く受け止め、計画は断念す る」としました。

渡辺ただひろ市議の賛成討論の要旨

日本共産党市会議員団を代表して、請願に賛成の立場から討論を行います。
この「請願」の趣旨に「本市がめざしているまちなか居住の推進の方針とはなじまない施設であるため、設置に同意せず、当該計画に反対してください」と述べられています。住民の皆さんの運動が長期に亘って繰りひろげられ、今日の請願に至ったものと思われます。
請願人は「本町地区の場外舟券売り場に反対する会」をはじめ、13団体、後に本町婦人会を始め9団体の賛同も加わり、多くの地区住民の願いが託された請願であることを申し添え、賛成討論といたします。

住民であふれた傍聴席

住民であふれた傍聴席


反対議案について

改憲手続法準備始まる

選挙費として計上された728万円は来年度の392万円とあわせて投票人名簿のシステムを構築するもので、改憲手続法が国会で成立したことに伴い 先行的に準備するものです。改憲手続法は投票年齢、最低投票率の是非、国民投票運動の自由の確保など議論が十分であったとは言えず、問題点を残したまま成 立しています。

市営住宅は公的責任で

市営住宅は公共住宅であることから、住宅困窮者への対応をはじめ、家賃減免や住環境整備などに責任を果たすことが求められています。今回、家賃の 収納率が向上したことや空家補修の工事期間を短縮できたことを理由に指定管理者を拡大しようとしていますが、本来市が責任を持って行う仕事ではないでしょ うか。