市議会ニュース -2008年12月号-

 12月定例市議会は、2日から22日まで開催され、補正予算案を含む42議案が提案されました。日本共産党市会議員団は、28議案に賛成し、旧同 和対策事業である住宅3貸付金(市の債権14億円)の「回収管理組合」を設置する議案を含む14議案に反対しました。また「定額給付金の再考を求める意見 書(別項P7)」が賛成多数で採択されました。
日本共産党市会議員団は、4人全員が一般質問にたちました。また、07年度決算認定に反対(要旨p6)しました。その概要を紹介します。


<学童保育>保育料徴収を市は計画「まず環境と内容の改善」を!

森下さち子市議

質問
 和歌山市では学童保育を小学校の空き教室で実施しており、環境は決して良いとは言えません。その上、希望しても 入れない、大規模化で目が行き届かないなど、改善は急務です。市がすすめる保育料の徴収は、新たな経済的負担となり、学童保育に通うのをあきらめる子ども が出る可能性もあります。まず保育内容の充実と環境整備を進めるべきです。
答弁
 学童保育の現状がよりよい環境にあるとは言えないことは認識しています。保育料の徴収は環境整備に充てるものですが、経済的負担が伴うことは事実であり、負担軽減のための減免制度なども検討します。

<旧同和対策貸付金回収>市の「放置責任」を問う

森下さち子市議

質問
 自立を促す目的で始まった貸付金の回収が進んでいません。その改善策ということで「住宅新築資金等貸付金回収管 理組合」を設立し和歌山市を含む8市町で統一基準を作り回収すると提案されました。この貸付は国と県の制度で、市が窓口となり進めてきました。市はすでに 国や県への償還のため、市民の税金を6億円あまり投入しています。回収組合で最終的に強制執行を伴っても回収不能となった場合、その4分の3を国が補助金 として出すという制度になっています。しかし、市がこれまでに負担した税金がすべて戻ってくるわけではないとのことです。この回収組合で扱う金額や件数、 また、貸付時の責任や回収の責任について明らかにしてください。
答弁
 07年度末の債権残高は13億9083万 9000円で件数は671件。うち、滞納額は7億862万2341円、滞納件数は357件。回収管理組合では、すべての債権の回収を目指し、取り組みま す。最終的に回収できない債権が発生する可能性もあり、大切な税金を使い、貸し付け、それが回収できないことは本来あってはならないことです。まことに心 苦しいことですが、最終的に不能欠損処理を行うこともやむを得ないと考えています。

市緊急経営対策資金を創設

党市議団の要望が実る

大くさ主馬市議

 日本共産党議員団は、6月11日、「原油・石油高騰から市民生活と経営を守るための要望書」を市長に提出しました。12月議会では、その後の市の取り組みと施策について質しました。
市長は、原油価格や原材料価格の高騰が市民や中小企業者に大きな影響を与えているもとで、7月11日に和歌山市原油価格高騰等対策協議会を設置し、影響 調査を8月4日から8月29日の期間において消費者、農業、畜産業、漁業、商工業、運送業、クリーニング業、旅館、ホテル業について実施したと答弁。その 調査結果について、「消費者についてはほとんどの人が家計を圧迫し、外出や買い物の回数を減らし、節約や商品のグレードを落としたりして何らかの対策を 取っている。それ以外の産業は、ほとんどが収益を圧迫し、その半数以上が価格転嫁できない」と答弁しました。
こうした状況を踏まえ、11月10日から新しい融資制度である「和歌山市中小企業緊急経営対策資金」を創設したと答弁がありました。

<定額給付金>「景気対策に一定の効果」と市長は強弁!

大くさ主馬市議

 日本共産党の「緊急経済提言」を紹介し、政府がすすめる定額給付金について市長の認識を質しました。
市長は「景気対策としては景気の下支え要因として、一定の効果があると期待しています」と答弁。
また、市長に、下請け中小企業への仕事打ち切り、非正規雇用の雇い止めや契約打ち切り、新規採用取り消しなどの実態の把握と対応を求めたのに対して、 「国・県を初めとする各関係機関とも連携し、実態把握につとめるとともに、大手企業に対しては十分に配慮していただくようお願いしたい」と、答弁しまし た。

<太陽光発電>補助金の復活を

また、自然エネルギー拡大のため個人住宅への太陽光発電施設への市補助復活と住宅の耐震改築への補助金引き上げを要請しました。


市議団は、12月議会で07年度決算認定に次の理由を述べて反対しました。

07年度決算については、文化会館、児童館職員の突出した時間外勤務手当て、住宅管理第2課管轄の住宅駐車場の不適正使用など、旧同和対策に関わ る改善が見られないこと、教育予算が耐震関連を除くと7・7%(一般会計比)ときわめて低いことなどから、認定に反対しました。
また、07年度水道決算については、最優先課題である有収率向上対策が当局の目標を達成できなかったこと、鉛管撤去や水系別有収率など目標値達成のための的確な対策が不十分であることから、認定には反対しました。


<国保・資格書>子どもの無保険状態をなくせ!

南畑さち代市議

質問
 国民健康保健料を1年以上滞納すると資格証明書が発行され、窓口で10割の負担となります。厚生労働省は、全国の無保険状態になっている中学生以下の子どもの実態を調査。和歌山市は近畿で3番目に多い人数で調査時250世帯、399人でした。
全国で「なんとかしなければ」との思いで改善が進む中、「市としても乳幼児医療費助成の対象世帯を除外することや子どもにのみ短期被保険者証を発行するなど異常に多い資格書の解消に早急に取り組むべきだ」と質しました。
答弁
  無保険状態の子どもの現状を考えると心が痛む思いです。しかし、特別の事情がなく保険料を納めていない家庭には負担を求めざるを得ません。(家庭訪問での 実状把握で)調査終了時には148世帯、240人に減少しましたが、今後も戸別訪問等を重ねます。子どもにのみ短期保健証を発行する事は有効な手立てだと 考えるが原則世帯単位の交付となっており制度上出来ません。国の動きを見守りつつ準備を進めます。
要望
 市長の判断で乳幼児医療費助成制度の受給世帯を対象外とした自治体があります。いま必要なことは市長として独自策を早急に講じる決断をすること、また訪問をしても会えない方への手立てを早急に進めることをあわせて要望しました。

<特定健診>健診率7.4%に低下 市が「診療費負担軽減」を表明。

南畑さち代市議

質問
 病気の早期発見に欠かせない自治体の基本健康診査が08年4月から激変しました。後期高齢者医療制度とセットで 08年度から新たに40歳から74歳までの方は「特定健診」を行うことなり、健診の目的も多様な病気の早期発見・治療から「医療費適正化の推進」「メタボ リック(内臓脂肪)症候群の予防」へと大きく改定。検査項目が減らされた上、自己負担は、2000円となったが健診率はどうか。健診の目的が果たされるの か質しました。
答弁
 国民健康保険加入者のうち特定健診の対象者7万4422人に受診券を送り、受診者は、10月末 現在で約5500人で、受診率は7・4%。その中で特定健康指導の対象者は585人で、指導を受けに来た方は74人です。受診率が向上するよう更に広報活 動を重ねると共に自己負担の軽減についても検討します。
要望
 自己負担は無料にしてはどうか。受診率向上の目標と計画を医療機関関係者の知恵を結集して立てるべきです。また国に対し、受診率や特定保健指導の改善率によってぺナルティーを課すようなやり方は止めるよう意見をあげることを要望しました。

定額給付金の再考を求める」意見書を採択

市議会は12月22日、「定額給付金の再考を求める」政府への意見書を賛成多数で採択しました。概要は次のとおりです。
「景気対策としての有効性が疑問視されるなど、数多くの問題点が指摘されている。特に、給付については、支給の方法や所得制限のあり方を、地方分権の名 のもとに各自治体に任せ、国としての明確な給付基準を示しておらず、その実施にあたって各自治体は、事務作業を含め困惑する声があがっている。」
公明党は、反対討論をし採決では自民党(3人のうち1人が棄権)とともに反対しました。


<雨水対策>浸透マス設置を提案

渡辺ただひろ市議

 昨今の降雨は集中豪雨的で70ミリ、80ミリといった降雨量が記録され、08年度は市内で、2度の道路冠水、家屋浸水事故が発生しています。
和歌山市の降雨対策は下水管に集め、そのまま河川へ流すか、またはポンプアップをしています。私は、道路、駐車場、一般家庭の屋敷内の雨水対策として「浸透桝」の設置を提案しました。
「浸透桝」は開所に集まる雨水を浸透桝に集め、ゆっくりと自然硫化させる設備で、現在では多くの市町村で設置され、その効果も実証されています。担当局は「他都市の経験を学び、検討する」と答弁をしました。

<公営住宅法改定>家賃値上げに救済策を要請

渡辺ただひろ市議

 昨年12月、公営住宅法が改定され、入居申請の限度額が20万円から16万8000円に引き下げられ、低所得者の入居条件が緩和されました。一方、入居基準額を超える入居者の家賃が引き上げられることから、影響を受ける世帯数とその救済策を質しました。
市は「276世帯、家賃の引き上げは暫定措置をとる」と答弁をしました。

<学校給食調理民間委託>公的責任を果たせ

渡辺ただひろ市議

 9月議会で、貴志・貴志南小学校などの学校給食調理業務の民間委託が決まりましたが、その後、関係者へ説明もされないまま実行されようとしています。学校給食は教育の一環であり、給食調理の民間委託は公的責任の放棄になるとして、撤回を求めました。
市長は「学校給食の公的責任ついては安全・安心な給食を提供することであり、間違っても汚染食材を子どもたちが口にすることがあってはならないが、撤回しない」と答弁しました。
また、教育費が04年度に比べ、07年度は54%と年々削減されているもとで子どもたちへの影響を質しました。
教育長は「教育は、次代を担う夢ある子どもたちへの投資であり教育予算はそれを裏付けるもの。財政再建の取り組みの現状のなか、質の高い効果的なものとなるよう、予算の確保に努める」と答弁をしました。


共産党市会議員団の12月議会での一般質問

大くさ主馬市議

  • 緊急経営対策資金について
  • 「定額給付金」について
  • 太陽光発電の補助金復活

南畑さち代市議

  • 国保・資格証明書、子どもの無保険問題
  • 特定健診について

森下さち子市議

  • 学童保育の保育料について
  • 旧同和対策住宅貸付金の回収

渡辺ただひろ市議

  • 雨水対策-浸透マス設置
  • 公営住宅の家賃値上げ
  • 給食調理民間委託の撤回