9月定例市議会は、9日から30日まで22日間の日程で開会され、日本共産党市会議員団は、4人全員が一般質問にたちました。その中で、和歌山市 が実施しようとしている8億5千万円もの市民負担となる「ごみ有料化」計画に反対するとともに、和歌山県内や名古屋市や長野市のごみ減量施策の調査をふま えて、和歌山市に「ごみ減量」施策の提案(「ごみ問題①~④」に要旨)を本会議で行いました。当局提案の15議案のうちJR六十谷駅へのエレベーター設 置、災害時に援護を必要とする高齢者や障害者を登録するための経費などについては賛成するとともに、2議案の問題点に意見を述べ(別掲P8)反対しまし た。次に、主な質問と市議団の態度を紹介します。
<ごみ問題1>事業系ごみ「減量計画書」を条例に基づき提出させよ!
市は8年間も条例による指導を放置
和歌山市は、事業系ごみの減量のため、排出事業者に対して「減量計画書」の作成・提出を指示事項とする条例を8年前に制定していますが、この間、対象となる事業者に一度も指示を出していないばかりか、該当する事業所の数すら把握していないことが明らかになりました。
長野市では条例に基づき、事業者に「減量計画書」を提出させ、減量に効果をあげていることを紹介し改善を求めました。
市長は「できるだけ早い時期に実施する」と答弁しました。
また2つある焼却炉のCO2削減のため目標設定を求めました。
市長は「今年度策定される『地球温暖化防止実行委員会』に削減目標を掲げる」と答弁しました。
ボートピア設置「合意プロセス」を質す
地元同意「民意を反映したプロセスが大切」大臣答弁
昨年9月、和歌山市はボートピア設置条件を緩和しましたが、今回は地元同意の問題で市長の姿勢を質しました。
国会における国土交通委員会(07年3月)で示された「地元の同意、不同意の手続き、地元の民意を反映するという意味で、どういうプロセスで合意がされ たかは非常に大切」とした大臣答弁に対する市長の認識を質したところ、市長は「国の基準であり、認識は同じである」と答弁をしました。
この答弁は、地元の同意、不同意について「民意の反映」が大切であることを確認したものです。
「調整池」に亀裂
崩壊を未然に防止させる
貴志地区の住宅開発にともなう「調整池」に亀裂が入っている、と住民から不安の声が寄せられていました。市に対応を求めたところ、市は「調査し改善指導する」と答弁をしました。また他の「調整池」についても調査することも要請しました。
その後、補修工事は完了しました。
<ごみ問題2>資源ごみの集団回収を「直ちに実施せよ」と提案
和歌山市の2006年の資源ごみはカン1444トン、びん3965トン、ペット1354トン、紙・布5645トン、プラ3085トン、合計15493トンでその収集運搬費は9億5642万5千円です。
私達が調査した海南市では13年前から自治会や婦人会など52団体に1㎏4円で回収奨励金を補助しています。
また名古屋市では、集団回収とともに、一般方式として学校協議会方式、リサイクルステーション方式、古紙リサイクルセンター方式、新聞販売店自主回収方式の4方式を活用しそれぞれに事業協力金を支出しています。
市長に集団回収を直ちに実施するよう求めました。
<資源ごみ回収費用>和歌山市は長野市の9倍に
長野市と和歌山市で同量の資源ごみ回収の費用を比べると、和歌山市は9億円、長野市は集団回収の1億円で済んでいることを指摘し、集団回収の実施によって「ワーストクラス」からの改善を市長に求めました。
市長は「早く(ワーストクラスから)脱却できるようがんばる」と答弁しました。
この他に学校施設の耐震化を進めるうえで、設計委託入札時の最低価格も保障されていない低廉価格の是正を求めました。
また築港4丁目の市道が粗大ごみなどの不法投棄で未整備状態が20年間放置されている問題を取りあげ、早急な整備を要請しました。
3つの意見書を可決 全会一致
☆『汚染米流通事件の徹底解明と米の流通管理体制の確立を求める意見書』(要旨)
汚染米の不正転売により残留農薬やカビ毒に汚染された米が医療・福祉施設の給食に提供されていたことから、市民の不安が広がっています。不正に転 売した一部業者の責任はもちろん汚染米を輸入し流通させた農林水産省の責任はきわめて重大です。規制緩和により売買業者を登録制から届出制に変えたことが 米の複雑な流通経路やチェック体制のずさんさの原因であり、政府は職の安全に責任を果たす体制を築くことが緊急の課題です。
☆『地方の道路整備の促進と安定的な財源確保に関する意見書』
☆『国立大学法人運営費交付金の見直しに関する意見書』
<ごみ問題3>家庭系生ごみの減量対策 コンポストを活用し堆肥化を
家庭ごみの減量方法は、紙や布などを分別し資源化すること、台所からでる生ごみを堆肥化すること、水切りを進めることが重要です。
橋本市では、コンポストと電動生ごみ処理機を活用し、耕作地を持つ人と持たない人がグループになり生ごみの堆肥化に取り組み、効果をあげています。その取り組みに学んで和歌山市でも焼却ごみの減量化をすすめることを求めました。
市長は「電動生ごみ処理機を08年度は増やした。コンポストの活用のためアドバイザーの要請については、市民の中から養成し普及を検討する」と答弁。ま た、水切り効果の啓発については「今後調査、研究する」「生ごみの堆肥化へモデル地域は今後調査・研究していく」と答弁しました。
<介護保険>来年度見直しについて「保険料の上幅の縮少を検討」と答弁
介護保険料の見直し、また介護職員が不足しているもとで利用者のサービス低下が生まれていることを市に質しました。
市は「保険料の引き上げは避けられないが、収入額が一定以下の方に負担軽減を行い、現在7段階の保険料額をさらに細分化し、軽減する方向で検討している」。また職員の不足については「適切な介護報酬の設定を国に要望している」と答弁しました。
アメリカ海軍第7艦隊・誘導ミサイル巡洋艦「カウペンズ」の和歌山港入港に関する申し入れ
9月25日、市議団はミサイル巡洋艦「カウペンズ」の入港(9月26日)を拒否するよう求める申し入れを行いました。
「カウペンズ」はイラク戦争に日本の横須賀港から空母キティホークと共に出撃し、開戦日にはトマホークを発射し先頭に加わった「戦歴」を持っています。
1、米艦船の和歌山港入港を拒否されること
2、入港を許可せざるを得ない場合は米軍艦船の「非核証明書」の提出を求めること
以上の2点を緊急に申し入れました。
同日、「『汚染米』流通事件の全容解明と安全確保、再発防止についての緊急申し入れ」をしました。
<ごみ問題4>ごみ減量・組成分析を進めよ
和歌山市は、昨年11月に長く開いていなかった「廃棄物対策審議会」を開き家庭系ごみの有料化を諮問し現在審議中です。
この間、党市議団は和歌山県内、名古屋・長野市等の先進都市のごみ減量施策を調査しました。私は、①有料化諮問の前にごみの減量を市民・事業者・行政が 一体となって進めること、②ごみの現状を把握するため、ごみの組成分析をし、その結果を市民に公表すること、③「廃棄物対策審議会」などを活用し、市民参 加で進め、ごみ減量の数値目標を定め、その数字を達成するために必要な実施計画を作ること、この3点が和歌山市に欠けていることを指摘し、市長の見解と対 応を求めました。
市長は「組成分析の大切さを考え、市民に公表する。内容分析を進め、ごみ減量に生かして行きたい。現在の基本計画目標の7・5%減量と15・5%のリサ イクル率は全国の状況から見て、低いという認識は持っているが、まず、この目標をできるだけ早く達成したい」と答弁しました。
<原油高騰>具体的施策を
原油高騰のあおりを受け、生活必需品へもその影響が現れています。
6月議会で市長は庁内に対策協議会を立ち上げ、実態調査を行い、具体的対策を考えると答えていました。
9月議会で「調査の結果と具体的対策、その時期」について質問したところ、市長は「国の対応をみきわめつつ、8月に立ち上げた庁内協議会に対策を検討するよう指示しており、10月中に再度協議する」と答弁しました。
<2議案>反対討論
補正予算の議案に家庭系ごみの収集や小学校の給食調理を民間委託する予算を含んでいるため反対しました。和歌山市は、ごみを減らそうと思えば市民の理解と協力が必要だといいながら、有料化や民間委託をまず進めようというやり方は納得できません。
給食は教育の一環であり、教育委員会は『食育』を積極的に進めるといいながら、小学校給食は44校の自校方式のうち、まず、貴志・貴志南小学校の2校の 調理業務を切り離し、経費節減のために民間委託しようとしています。「汚染米事件」の教訓を生かすなら公的責任の下で継続的にその責任を果たすべきです。
公共下水道にかかわる工事金額を約8000万円増額する議案は、工事中にベンゼン化合物による悪臭が発生し、掘削土砂等の処分費が必要だということですが、調査した水の採取場所が悪臭発生現場と異なることや責任施工するべきという観点から反対しました。