6月定例市議会は、6月12日から7月1日までの20日間の会期で開かれました。2800万円の一般会計補正予算案や条例改定など37議案が提案 されました。市民要求にもとづく低所得者向けの木造住宅耐震改修補助費、貴志小学校の分離校舎建設のための地質調査費、防災倉庫整備費などに賛成するとと もに、問題のある11議案に反対(別に掲載)しました。市会議員団の4人全員が、一般質問に立ちました。一般質問の主な内容と議案を紹介します。
<農業問題>食料自給率の向上を要求!市は「総合計画に目標値を定める」
渡辺忠広市議
日本全体の食料自給率は39%(カロリーベース)と他の主要先進諸国ではみられない危機的状況です。
和歌山市はさらに低く11%、穀物自給率は24%という低率です。和歌山市の場合、今年度だけで11haの減反を農家におしつけています。
和歌山市の「長期総合計画」に今後10年間の自給率の向上目標を定め、自給率の向上を図るべきだ、と質しました。
市長は「今年中に策定する総合計画に目標を定める」と答弁しました。
コメ粉パンの活用を
自給率向上のためにも「地産地消」を進め、学校給食の全面和食化をめざし、「コメ粉パン」の導入を図るよう提案しました。
市長は「コスト面を考えながら関係団体とタイアップし検討する」と答弁をしました。
未耕作地の活用を提案
コメ価格の低迷、高齢化、「減反」によって、和歌山市内の水田、畑地の多くは「未耕作地」「放置地」となっています。市が未耕作地への新規農業者を紹介し、また「市民農園」として活用することを求めました。
市長は「『農業経営継続事業』などを活用し、今後5年間のうちに放置耕作地ゼロをめざしたい」との答弁をしました。
<補正予算>「反対討論」の要旨
反対した11件中、市立高校(市和商)の空調設備使用料・電気代を保護者負担とする議案は、高すぎる教育費にさらに拍車をかけるものであることから反対しました。
また、市民会館や和歌の浦アートキューブ、東公園野球場や体育館の管理運営を市の直営からはずし指定管理にすることは、安い労働力に置き換えることによ り経費節減を図ろうとするもので、非正規雇用を助長するもので、「指定管理者制度」の導入議案にはいずれも反対しました。
地方税法の改正に伴う議案は株式の売却利益などにかかる税率を低くしようというもので金持ち優遇税制であり反対しました。
<妊婦健診>公費負担の健診回数をふやせ! 市長は「回数・内容の充実、早期実現」
南畑さち代市議
質問
厚労省は07年1月、妊婦健康審査に対し自治体の公費負担を求める通知を出しました。これをふまえ公費負担の回数を大幅にふやす自治体が増える中、和歌山市は2回と中核市の中でも最低水準となっています。
また、助産所での妊婦健診も利用者がいる以上、公費負担の対象とすべきで、安心して出産できる環境を整えるべきです。
答弁
国の通知の考え方に沿って、公費負担の回数および内容の充実の早期実現に向けて取り組む。助産所での健診は、公費負担の回数を増やす取り組みの中で検討する。出産育児一時金の『受け取り代理制度』の周知は現在取り組んでいる。
要望
一時保育については他府県からの里帰り出産の際に住民票を移さなくても実施している自治体があることを紹介し、市としての改善を要望しました。
<後期高齢者医療制度>「廃止すべきだ」と質問 市長は「尊厳を著しく傷つけ、遺憾」
質問
4月から実施された後期高齢者医療制度は、75歳から別枠の医療制度とし、年金からの天引きや保険料が2年毎に改訂される仕組みとなっています。さらに 保険で受けられる医療の中身が差別・制限されることなど、制度的欠陥を持っています。廃止すべきだと思うが、市として実施後の問題点についてどう考えるの か。
答弁
市長は「75歳以上の方々を切り離したかのような形となったことについては長年わが国を支えてきたことに対する尊厳を著しく傷つけた事でありまことに遺 憾である」「大きな制度改正にもかかわらず、周知が徹底できていないなかスタートしたこと、国の実施した保険料の比較でも大都市の自治体では所得の低い方 への負担が増えていることが判明し、更なる保険料軽減策が検討されるなど当初から充分精査された制度ではなかった。
今後きめ細かく問題点を再度検討し、高齢者の方々に十分配慮した制度を構築するよう、市長会等を通じ、国に強く要望していく」と答弁しました。
『原油・石油高騰から市民生活と経営を守るための要望書』を市長に提案
6月11日、日本共産党市議団は市長に次の要望書を提出しました。
①原油・石油の高騰による市経済、市民生活への影響の実態調査を行い、関係機関と協議し対策を講じること。
②影響のある事業所・者に対し、特別融資枠の設置、利子補給を実施し、また短期の雇用者に対する人件費補助制度を設けるなど、経営の安定化を図ること。
の2点がその概要です。
市長は「市民生活や中小企業者等に影響を及ぼしている」とし「実態調査のため、庁内に対策協議会を立ち上げ、その結果に基づき対応策を検討する」と答えました。
<国民健康保険>『国保』 保険料の引き下げを! 「一般会計からくり入れ増を検討する」と答弁
森下さち子市議
質問
4月から始まった後期高齢者医療制度により、75歳以上の被保険者を国保から切り離した結果、「支援分」という費目が新たに作られ、どの階層でも保険料が上がっています。
ただでさえ高い国保料金に拍車をかけ、さらに払えない状況を広げるおそれがあります。その大元の原因は、国が国庫負担を減らしたことにあります。払えない保険料の行き着く先は資格証明証の発行であり、資格証では病院での窓口負担は医療費全額となります。
この間、資格証しかなく、重症化するまで受診を控えていた人が何人も亡くなっています。
後期高齢者制度は直ちにやめ、国保は国の負担を元に戻すこと、また国が元に戻すまで当面、自治体が独自に減免枠を拡大し、資格証の発行をやめ、保険料の引き下げを図るべきです。
答弁
後期高齢者制度により、新たに支援分が発生し、国保加入者の保険料を引き上げざるを得なくなり、そのことに対しては大変心苦しいものがあります。ただ、 その引き上げ率はできるだけ抑えたつもりです。今後、厳しい財政ではありますが、一般会計からの繰り入れを増やすよう可能な限り検討します。
<市農業問題>生産緑地制度の拡大を! 「指定を進め、改善を検討する」と答弁
質問
3年前に私たち日本共産党市議団が要求し始まった、生産緑地制度は年々申請が増え、指定が進んでいます。しかし、新たに指定条件である面積用件(1000㎡)、接道用件(農地が公道に接している)などが障害となり、制度適用が何度も見送られている地域があります。
市内和佐地区は住民の方たちの多くが反対されたにもかかわらず、都市計画の線引きを見直し調整地域から市街化区域へ編入されました。
このような地域には生産緑地制度の指定用件を現実にあわせ農業振興の立場で認めるなどの運用に改善するべきです。
答弁
生産緑地制度は市の農業振興や緑地の保全などに大きな役割を果たしていると認識しています。今後も指定を積極的に進めるとともに実績を見つつ、改善を検討します。
「国民皆保険制度の維持を求める意見書」
共産、民主、新和、無所属らで共同提案 賛成少数で否決
日本共産党の「意見書」への賛成討論は次のとおりです。
第一に、保険財政の悪化を解決するために重要なのは、国民健康保険を「世界に誇れる国民皆保険制度」として維持し再生させることです。そのために、「医療抑制」の施策をやめさせることです。
第二に、「後期高齢者医療制度」はただちに廃止すべきです。この制度は「お互いを助け合うという保険制度の主旨に反するもの」です。長年、日本の発展を 支えてこられた高齢者の方々の人間としての尊厳を著しく否定するものです。後期高齢者医療制度の廃止を含め再検討すべきです。」
<ごみ有料化>有料化でごみは減るのか? 市長「審議会の動向を見ながら対応」
大くさ主馬市議
昨年11月、和歌山市は廃棄物対策審議会にごみ有料化のあり方および実施方法・時期について諮問をしました。
「今回の諮問は有料化先にありきではないか、市民が排出抑制・再利用の推進に協力すれば、ごみ有料化をしなくても十分やっていけるのではないか」と質しました。
市長は、「(ごみの減量について)市民の協力で、かなり大きな効果をあらわすと思います」「審議会で、有料化以外の減量化施策について議論をいただいているところで、審議会の動向を見ながら対応します」と答弁。
審議会でも多様な意見がでて、ごみ減量化の議論もされています。有料化に限定せず、多面的な意見が反映されることを示しました。
資源ごみの分別努力を無駄にするのではないか
現在の収集方法では資源ごみを分別すればするほど経費が増える仕組みになっています。市民の分別が報われるよう改善を求めました。
生ごみ堆肥の利用方法を
生ごみの堆肥化が進んでいます。都市部のように堆肥化したくとも排土処理方法がない世帯への対応策が自治体に求められているのではないでしょうか。
市民環境局長は「堆肥の利用方法について、生ゴミ処理機を利用されている方の意見も聞きながら、必要に応じて検討する」と答弁。
<地球温暖化>京都議定書目標達成のために 市長「産業部門の削減を求める」
京都議定書に基づく和歌山市が定めた温室効果ガス削減目標(90年比6%削減)を実現させる具体的施策について質しました。
和歌山市では排出の80%を産業系が占る温室効果ガスの削減目標値を明らかにしてこそ目標が達成できるのではないか、と質しました。
市長は、「産業部門の各事業所が省エネルギーの推進や新エネルギーの導入などにより、温室効果ガスの削減に積極的に取り組むよう求める」と答弁しました。
市のごみ有料化(案)
「有料化」の目的、実施時期
●有料化で市民意識を変え、ごみ減量をめざす。
年間諸費用は8億5000万円、そのうち、約5億円が市の収入となる。
●一般ごみ、粗大ごみを有料化。
ごみ袋、一枚52円/40リットル。
粗大ごみ、300円のシールを貼る。
●実施時期、09年度から。