9月10日から22日間の会期で開かれた9月定例市議会は、10月1日閉会しました。市議団は、補正予算案と30議案のうち、北インターチェンジ 建設への負担金6800万円を含む予算案と家計を直撃する下水道使用料の引き上げや都市計画税の50%アップなどの8議案に反対しました。6月議会で「官 製談合疑惑」を指摘したことにより入札を改善した救急工作車購入議案などに賛成しました。一般質問に、議員団5人全員がたちました。また、民主クラブと共 同で修正動議を提出しました。
<下水道使用料>1月から約39%値上げ
来年1月から実施となる下水道使用料値上げ。一般家庭で一ヶ月の水道使用量が20の場合、下水道使用料金は2205円から2782円の26・2%、年間で 数千円、また事業所などでは年間数万円、40%以上の負担増になります。(別表)市は、03年以来となる今回の値上げの理由を下水道会計の収支改善と説明 し、年間約9億円の収入を見込んでいます。
和歌山市の下水道整備の現状は、中核市平均74%にたいして29%と極めて遅れており、下水道会計は、「105億円の赤字」(17年度決算)となってい ます。全国の多くの自治体の公共下水道会計が「赤字」ですが、それは、整備の初期投資に莫大な費用を要する事業ということもあります。しかし、国の支援策 の弱いことも原因といえます。合併処理浄化槽の推進を含めて下水道事業の見直しが求められます。
<都市計画税>来年4月から50%の値上げ
都市計画税は、50%の値上げとなり、これにより年間、15億円の増収を見込んでいます。これにたいして、市民からは、「都市計画税を長い間払ってきたが、私の田畑の周辺道路は整備計画すらない。いったいどこに使っているのか」との声が上がっています。
市議団は、市民生活を直撃する今回の値上げに反対しました。
「65歳以上で新たに障がい者となる人への医療費支給のカット」
・・・・【継続審議】に
市は、来年1月以降に65才を迎え新たに障害手帳(1級・2級など)を取得された方の医療費補助を削る条例を提案してきました。
その理由は、6月に成立した「地方財政健全化法」により特別会計に膨大な赤字を抱えている和歌山市は今以上のスピードで財政再建がせまられていること、 昨年8月に県が制度縮減で市への補助が減ったことなどから、今後の市の財政負担が膨らみ、制度が維持できなくなるからとしました。
党市議団は、制度維持の判断で最も大切な事は、利用者にとってどれだけの必要性があるかを判断することであり、来年1月以降に65歳を超える方への支給 が、なぜ不要と判断したか、また県に制度の後退への抗議をしたか、復活を要求したかについて質し、条例の撤回を求めました。他の市議からも、今年2月議会 での制度維持をもとめる決議を無視するとの指摘などもあり、継続審査となりました。
旧同和子ども会の「不公正」を問う
森下さち子 市議
同和対策にかかわる特別法が5年前に終了したもとで、事業の根拠がなくなったにもかかわらず、「子ども会」事業をいまだに続けている根拠と市内52の小学校区全てでなぜ行われていないのかを質問しました。
大江教育長は、旧同和子ども会事業について「人権を大切にする心を育み、主体的に行動してゆく力の育成」のためであり「差別に立ち向かっていく子どもの育成を組織的、継続的に行うことを目的とする団体」の存在によって14地域で行われていると答弁しました。
交付金は、一単位年間60万円が支出され決算報告書が提出されていますが、市議団の調査で、ある地域の子ども会は、単位が異なるにもかかわらず、一円の単位まで同じ報告書(別表)が9つありました。しかもこの「不自然」な決算報告には領収書が添付されていません。
市は、領収書などの突合せはしていないが、07年度から添付を実施していると答弁しました。
旧同和子ども会以外の子ども会(母親子どもクラブ)は、会費をきちんと取り少ない補助金で自主的運営をおこなっています。 「不公平」な補助金支出を改めることを今後も強く求めて行きます。
児童扶養手当の充実を要求
南畑さち代 市議
子育て支援策の一環である児童扶養手当の拡充と母子家庭の就労支援について質問しました。
児童扶養手当支給は03年からの4年間で463人増の4439人で、1・12倍、母子加算受給者は53世帯増で282世帯1・23倍と欠かせない制度です。政府の縮小決定で深刻な事態に直面することから、生活と就労支援などの対応の拡充を市に求めました。
大橋市長は、「子育て事業計画288のうち93%が着手されており、今年度は小児救急医療体制の充実などを行ってきた」と述べ、国に対して充実を求めると答弁しました。健康福祉局長は、母子世帯の就労について「関係機関と連携をとりながら支援する」と答弁しました。
<北インターチェンジ建設>6,800万円 の負担金支出へ
和歌山市の財政は危機的な状況にあり「年間100億円の財政の捻出が必要」として市は、来年から下水道使用料や都市計画税で年間24億円もの負担 を市民に押し付けようとしています。その一方で、ムダと不要不急の事業の見直しをせず、北インターチェンジ建設のため(総事業費31億円のうち11億円が 市の負担)に6800万円の負担金支出を決定しました。
市議団は、市民生活第一の立場から財政計画における検討もされていない巨大事業である北インターチェンジ建設は拙速であるとして支出に反対しました。
医療福祉施策の充実を!! 高齢者いじめはやめよ!
後 みつる 市議
医療改革関連法による療養病床の削減や、来年春から実施となる高齢者の医療費窓口負担の引き上げと後期高齢者医療制度の創設などに市民の不安が高まっています。医療と福祉の切捨てにならないよう市の対応について質問しました。
健康福祉局長は療養病床の削減について「介護療養病床の施設移行や、在宅支援体制の整備を含め、療養中の患者の状況を重視したきめ細やかな対応が可能と なるよう整備を図っていく」と、また、後期高齢者医療制度を運営する和歌山県広域連合に対して「市民のご意見につきましては反映できるよう要望するととも に、県下9市で構成する和歌山県都市医療福祉協議会を通じて広域連合に意見などを反映していきたい」と答えましたが、保険料が高額にならないこと、資格証 明書を発行しないよう申し入れることについては明言を避けました。
和泉山系の開発で 「環境アセスメント」の見直しを
渡辺ただひろ 市議
8月中旬、貴志地区の梅原で絶滅危惧種指定の「オオタカ」が発見され、そのの存在が明確となりました。自然林や山並みの保存など「環境アセスメント」の見直しを開発事業者に指導するよう質問しました。
市は関係事業者に工事中の騒音配慮、第2阪和道建設にあたっても県・国に対し要請すると述べる一方、未開発の自然林については改定都市計画法で、従来の大規模開発は出来なくなりますが、オオタカの存在だけでは私有地の自然林の保護施策はできないとの答弁。
和泉山系の自然林の保護へひきつづき求めます。
市の財政健全化策をただす
大くさ主馬 市議
和歌山市は「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の新しい財政指標(一般会計と特別会計を含む連結実質赤字)をふまえ多額の赤字解消への財 政再建対策が課題となっています。今回、現状に対する市長の認識とともに、国の全面的な責任であるにもかかわらず大滝ダムの追加工事の9億円余の負担金を 承諾した理由などを質しました。市長は、「多目的ダム法によりやむをえない」と答弁。また、財政局長に赤字の多いつつじケ丘造成事業、下水道事業、国民健 康保険の三会計について、一般会計からの繰り入れ額を質問したところ、国保や下水道事業の一般会計からの繰り入れは、ほとんどが基準内繰り入れであること が明らかとなりました。つつじヶ丘など収益事業を目的とするものと、下水道や国保のように生活に直結する事業の赤字対策を同列に扱わないことを求めまし た。
「一般管理職、年間28万円の給料カット含む」条例の修正動議
民主クラブと共同提出
一般管理職を対象から削除する修正動議を民主クラブと共同で提案。提案理由は、職員の給与は生活給(該当する課長・副課長の一人当たり平均年間 28万円の削減)であり、職員の生活に大きな影響を与え、また市民生活にも影響を及ぼすこと、人事委員会の「職員の給与が地方公務員法に規定する給与決定 の原則に沿って定められることを望むもの」との意見表明を踏まえてのものです。
11人の賛成を得ましたが少数で否決されました。
<場外舟券発売場>また、ぶらくり丁にボートピア建設計画が浮上
大橋市長が設置合意へ「条件緩和」【市議団が抗議!】
ビブレ跡地へのボートピア建設は、今年春、本町周辺の4万人を越える反対署名の運動もありついに断念。住民がほっとしたのもつかの間で、8月にまたぶらくり丁でボートピア建設の計画が浮上しました。
これにあわせるかのように大橋市長は、「市長同意の条件緩和」を9月に決定。本会議中は議会に報告もせず10月1日議会終了後担当者が各会派に説明しました。
市議団は、見直しの重大な問題点と議会軽視にたいして3日、市長を訪ね抗議文を渡し撤回を要求しました。市長は、「従来の基準では、設置が困難。政策判断できるよう条件を見直した」とのべ撤回を拒否しました。
見直し理由は「建設」のため
市は、「現在の設置に関する基本的な考え方は、平成12年10月のものであり、この基準では設置が不可能」「地元住民や議会の意向を尊重しながら も、柔軟に対応することを目的にし、市長が同意するための前提条件を見直し」9月5日に市長が出席した政策調整会議で承認し20日に確認したとしていま す。
地元の範囲を縮小し市長の権限を強化
見直しの最大の問題点は二つあります。
一つは、これまでの前提条件としてきた地元の範囲のうち、①施設設置場所が含まれる単位自治会に境界を接する単位自治会、②施設設置による影響が大きいと思われる単位自治会、連合自治会及び関係団体」を削除し、地元同意の範囲を著しく狭めたことです。
もう一つは、市長が同意するための付帯条件として、①市民生活に著しく支障をきたすおそれがない計画であること、②本市の活性化に貢献できる計画であることを新たに設け、市長の政策決定の権限をより強化したことです。
「市政に汚点を残す決定」撤回を市議団は要求
市議団は、これら、民意を無視し市長の権限を強化する見直しの問題を指摘し、とりわけ本会議中になんらの説明もせず、議会終了後に説明するなど議会軽視に強い反省を求め、市長に抗議しました。
市議団は、ギャンブルに頼らない街づくりと子どもの教育環境を守る立場からぶらくり丁へのギャンブル施設・ボートピア建設反対のため市民のみなさんとともに奮闘する決意です。