市議会ニュース -2006年9月号-

「財政再建」をいうが「市の貯金」5億2千万円取り崩し計画の整合性がない事業次々と!

9月定例市議会が9月11日から10月2日までの会期で開かれ、総額13億8千万円の一般会計補正予算など23議案が可決されました。日本共産党市議団は、反対理由を本会議で述べ、6議案に反対し17議案に賛成しました。反対した議案の問題点は次のとおりです。

旧丸正ビル再生補助に6億円。基本計画の策定前に予算を計上。

  旧丸正ビル再生の中心市街地活性化基本計画は、市の説明では、10月に国土交通省に事業計画を、11月中旬には申請する予定とのことです。「暮らし・にぎ わい再生事業」として空きビル再生支援のためエレベーターや階段、避難施設などの整備補助を国に申請するというものです。

市議団は、今回の予算計上が基本計画における位置づけが明確でなく6億円の投入で市の予想する効果が生まれるか定かでないこと、またこの補助事業への市民的合意がまだ十分取れているといえない点から反対しました。

水道料金窓口業務、出島浄水場の民間委託化は問題!

来年度から水道料金の窓口業務を民間委託するため2億2千万円、出島浄水場の運転管理を民間委託するため3億2千万円が計上されました。これら は、人員削減による経費削減が目的ですが、市民の命を支える水づくりは直営でされるべきで、また窓口業務は市民との直接対話する重要な業務であり民間委託 すべきではありません。

市営住宅の管理を民間委託へ

市営住宅の維持管理、入居者の募集、入・退居手続きなどの業務を民間委託し、当面その対象を6団地とし、3年間試行するという条例が提案されまし た。修繕業務も民間管理となります。市議団は、安くて安心な公営住宅を提供することは、市の重要な責任でありその役割低下が避けられないことから反対しま した。

北インターチェンジの設置に20億円以上

大橋市長は、直川用地の活用とともに、北インターチェンジの設置が最重要課題と所信表明で述べました。日本共産党は、事業総額、市の負担額、その 財源の見通しについて質問し、市は、事業総額の概算で20億円から25億円で、市の負担額などは県と協議中で財源は国庫補助を半額見込んでいる、また「財 政健全化計画」策定後の事業となるため、市税などの動向を見極めつつすすめると答弁。財政再建の途上にあるなかで今回の補正予算の歳入には5億2千万円の 市の「貯金」である財政調整基金を取り崩しています。このもとで計画との整合性は極めて不十分といえます。

「雇用創出計画」と推進体制の確立を!

労働法制の改悪で非正規労働者が増大させられ和歌山市においても雇用問題は深刻です。「若者が魅力を感じる就職先が少ない」「雇用機会の確保と経済の活性化を図りたい」と市長も所信表明で述べています。
市議団は、議会で雇用創出計画と推進体制強化を求めたところ、市は「和歌山市の雇用対策の窓口は現在、労働福祉班だが、新年度にむけて検討」し、また市長は雇用創出計画の「必要性はある」と述べました。

高齢者への負担さらに増大、市は国保、介護、税の軽減策をもて!

表  今年6月、市民税課の窓口に「昨年の何倍にもなった」との問い合わせが高齢者の方から殺到しました。来年以降も国の税制改定により介護や、国保など保険料 の負担はさらに増えるためその実態を問いました。高齢者で単身者、年金180万円の方の場合、2年間で新たに約68000円も増えます。(表を参照)
市独自の軽減策を持つよう求めました。特に他の中核市、船橋市では介護保険の利用料軽減、新潟市では国保料を軽減し、東大阪市では市民税の減額などを進めています。和歌山市においても国の悪政から市民を守る立場で独自に軽減策をもつよう求めました。

なぜ!和歌浦は廃園?杭ノ瀬は新築移転?公立保育所整備の全体計画を示せ!

子育て支援のため和歌山市は「次世代育成支援行動計画」を立てています。公立保育所の整備は8ヶ所となっていますが、どこを整備するか全体計画は 出されていません。この9月議会で突然、杭ノ瀬保育所の新築移転のための用地買収費1億2300万円が提案され、一方で和歌浦保育所を廃園する条例がださ れました。子育て支援策は、市民ニーズにかみあった市の行動計画へ具体化するよう求めました。

児童館、地区文化会館など、一般開放を!

 市民の学びを保障するため市は「生涯学習基本計画」を策定し、施設整備と開放を進めています。その計画の中で、旧同和対策として建設された地区文化会館、児童館を生涯学習の拠点として活用することを掲げました。しかし、一般開放とは言いがたい実態があります。
なかでも芦原スポーツ広場(通称)は市の児童遊園であるにもかかわらず鍵がかかっており自由に出入りできません。公共施設として公正に広く市民が利用でき るためのシステムづくりを市当局に求めました。市長は「公正・中立を旨とし」「市民に開かれた施設として運営」すると答弁しました。

バリアフリーへ前進<JR六十谷駅>

  JR六十谷駅のバリアフリー化に必要な市の交通バリアフリー基本構想についてただしたところ、市長は「早期に実現する」と約束しました。六十谷駅は通勤通 学など市民の利用が増えています。またエレベーターや障害者用トイレなど早急な改善を求められています。共産党が駅利用者の方を対象に実施したアンケート では段差、トイレ、駐車場、駅前スペースなど切実な内容が寄せられています。
日本共産党は、JR支社と交渉した際「市の基本構想ができればバリアーフリー法を活用」したいと回答を受けたことを議会で示し、市の対応を求めました。
市長は「有功・直川連合自治会で設置された六十谷駅利便性向上対策委員会からの陳情などを踏まえ」「基本構想を早期に実現するよう取り組む」と約束しました。

<青岸産廃>住民対話と産廃計画の見直しを!

市長「早期にお会いする機会を」

住民は11万人の反対署名を集め建設中止を求めています。
市議団は、市長が地元住民との対話することと医療系産業廃棄物処理計画を立てるよう求めました。
市長は「住民の方々の声をきくため、議会終了後できるだけ早い時期に、砂山地区の皆様にお会いできる機会をもちたい」と答弁しました。また生活環境部は、 「産業廃棄物の実態を県内事業者にアンケート調査を実施」「事業者を重点的に選定し、県市合同で事業所訪問し聞き取り調査を実施」、また「自区内での適正 な処理」の具体化が県の計画にもりこまれるよう働きかけると答弁。住民の不安に正面からこたえるよう引き続き市に働きかけていきます。

施策の優先順位と市民合意は?―大型事業がめじろ押し、でも財政負担は―

大橋市長は、2期目にあたり、和歌山市の活性化のため、河北地域における直川用地への公共施設設置と活用、北インターチェンジ設置、また旧丸正の再生をはじめとする中心市街地活性化の事業などの構想を明らかにしました。
市議団は、さまざまな施策の優先順位や事業総額と市民同意をいかに得て進めるのか質問しました。
市は、北インターチェンジに20億円以上、直川の保健センターとコミュニティーセンターに14億6千万円、JR和歌山駅と南海市駅間の高架事業に19億9千万円などが必要であると答弁しました。
市は「財政健全化計画」の実施途上にあり財政が厳しいのが現状です。そのもとで市の負担額、財源見通しと計画との関係などを踏まえ優先順位を決めることや市民合意の確立が求められます。

「市役所ぐるみ選挙」を質す

市議団は9月13日の本会議で一部報道されている「市役所ぐるみ選挙」について質問。市長は「誠に遺憾だ、捜査の結論を待って適切に対応」したい と答弁しました。公務員の政治的自由は保障されるべきですが、これまでも指摘された「市役所ぐるみ選挙」は違法行為であり公正な市政運営の障害となること から厳正に正すべきであるというのが日本共産党市議団の立場です。

「障害者自立支援法」の改正を求める請願!

障害者自立支援法について、NPO法人和歌山県手をつなぐ育成会など12団体から出されていた請願を全会一致で採択しました。
内容は、障害者自立支援法が4月から施行され応益負担が導入され、障害者と障害者施設を直撃していることから法改正を求め、また和歌山市独自の軽減策を求めています。
要望では、和歌山市における影響調査を行うこと、障害乳幼児の応益負担については凍結すること、障害者の認定区分は生活ニーズに基づく支給決定にすること、地域生活支援事業が積極的に取り組めるよう予算を大幅増額することなどを求めています。
市議団は、これらの要望が市政に生かされるように奮闘してゆきます。

県「紀の国森づくり税条例」および「基金条例」の撤廃を求める

和歌山県議会において昨年12月、市議会などの反対の声をおしきって和歌山の森林の保全などを目的に「森林税」を県民税に500円上乗せする条例が可決されました。この条例による税の徴収は来年4月から実施となります。
この間、県は各地で説明会を開催しましたが、和歌山市では30人足らずの参加で、説明会の周知案内自体に問題あるとの声も出されています。
御坊市議会とともに和歌山市議会において、昨年に続いて県の「森づくり税条例」の撤廃決議が全会一致で採択されました。

<杭ノ瀬保育所の新設移転>1億2300万円「予算執行を凍結」、市長表明

 9月議会に突然、杭ノ瀬保育所の移転・新設のためにと1億2300万円の土地購入費が計上されました。
市議団は、本会議で取り上げ、和歌山市の公立保育所整備計画との整合性を質問しました。和歌山市の公立保育所の整備計画では市内9か所を整備するとしてい るがその全体像はどうなっているのかと質問しました。市は「計画にはないが、近隣土地所有者の同意がえられたため早く進める。施設の整備には適時に適切な 事業を行う」と説明しました。教育民生常任委員会で他の会派の議員も取り上げ、委員会が市長の出席を要請し、市長が「予算執行の凍結」を表明しました。
なぜ新築移転なのか、保育人数定数を増やさないのに広い土地が必要なのか、土地購入の経緯、地域子育てセンターを併設するという計画がなぜ突然出されたのかなど、さらに市民に明らかにすることが求められます。