市議会ニュース -2010年12月号-

11月26日から開会された定例12月市議会は人事院勧告に関わる市職員の給与条例改正、12月補正予算など12月17日討論採決の結果、提案されたすべての議案が可決されました。
共産党市議団は、職員給与条例の一般職員に関わる条例改正、補正予算中3件、また、09年度決算認定について討論のうえ反対しました。問題点については次の通りです。

<住民票や印鑑登録など>11月から支所・連絡所「窓口業務」廃止!

条例は来年度直川に建設される複合施設内に新たに『北サービスセンター』が設置されるという内容です。もともと市内42ヶ所の支所・連絡所で行っ ていた窓口業務を行財政改革方針に基づいて、今年度は5ヶ所のサービスセンターに集約され、すでに11月1日から実施されています。
しかし、例えば、山口や西脇、山東など地区によってはサービスセンターから、かなり遠くなることから一律廃止については、改善するよう求めていました。特に自家用車を持たない方や高齢者など配慮が求められるにもかかわらず、改善は不十分なままです。
担当課へ窓口業務に関わる端末機を置いて欲しいという要望も該当する自治会から出されています。市民サービスの向上のためというならば、一律廃止をやめ、要望に基づいた対処をするべきです。

2009(H21)年度決算認定について

一般会計・特別会計

教育予算について、一般会計に占める割合は前年度の8%台に続き、09年度はさらに落ち込み7・6%でした。子ども達への貧困と格差の悪循環を断ち切るためにも、需用費増額、父母負担軽減など少なくとも10%台へ拡大すべきです。
市民の健康を守る点について、特定健診を含む各種健診の受診率が目標値に達していないことが続いています。費用負担軽減、広報の徹底など改善が求められます。
旧同和対策について、住宅家賃の減免制度で年間3億数千万円、エレベーター管理人報償費、子ども会や企業センター補助金など継続されたままであり、直ちに廃止が求められます。

公営企業

2009年度の有収率は79・5%と他都市と比較しても低く、配水管の老朽化が主な要因となっています。中でも「鉛管」の破損の比率も高く早急な取替えが必要ですが、年間目標が実態から見れば少なすぎることから、その目標自体を引き上げる必要があります。
大滝ダムの建設費負担が大きく、その利息は昨年度だけで2億1500万円にも及びます。この負担が将来市民負担になることが懸念され、早急に解消することが求められます。


中学校給食の早期実施を!!

全体計画は「中学校給食協議会」(仮称)で検討

森下さち子市議

貧困が進む中で子どもたちの置かれている状況はますます深刻になっており、学校の果たす役割も大きくなっています。小学校では給食だけで普段の栄 養を摂取するという生活をしている児童がいること、給食のない中学校では昼食を常時食べない子がいるなど、給食の実施が求められています。
中学校給食の教育における現時点での位置付けと意義と全体計画立案の考え方、その際の現場の声をどのように聞き、対処するのかについて質しました。
教育長は成長期にある子どもたちに栄養バランスの取れた食事を提供することにより、望ましい食習慣の形成や心身の健全な発達を図ることができるという点 で、給食の実施には大きな意義があるとの認識を示しました。そして、全体計画の立案については早急に学校関係者・保護者・有識者等で構成する(仮称)中学 校給食協議会を設置し、中学校給食のあり方や実施方法を検討し、他都市の状況や視察も行う中で試行的な取り組みも含めて進めると答えました。
現時点で教職員の多くが給食の実施に事務負担が多くなることに不安を感じていることについて、今後、学校現場の声を聞き不安解消に努めるとの認識も明らかにしました。


TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加には“反対”の意志を明らかにせよ

食料自給率41%から14%へ……農業が壊滅的になる恐れ

渡辺ただひろ市議

政府は、TPPへの参加を前提として「協議へ参加」することをすでに決めています。
TPPは関税を撤廃し、輸出入の自由化を図るためのもので、アメリカやオーストラリアをはじめ、9カ国の参加が検討されています。
市長は2007年、政府が「日豪EPA協定」の締結交渉をすることに対し、「EPA締結に反対する要望書」を提出していますが、TPPは多国間協定であり、EPA以上に日本農業への影響は多大なものです。
市長は「TPPへの協議参加は国民的合意が得られていない。TPP参加の条件として国際競争力がとりわけ脆弱な分野の産業界や国策として保護貿易主義を取らざるをえない農業分野などへの国内対策が先決」と答えました。
また、TPPへの協議への参加に反対の意志を明確にすべきではないかとの問いに対して、「TPP参加は日本が無防備のまま市場を開放するようなもので、農業分野では米国だけが得をする構図になっている」との認識を明らかにしました。
国への「要望書」提出に対しては「政府の農業対策を検討する『再生推進本部』での議論の動向を見極めたうえで、提出するかどうか判断をしたい」と答えました。


障害者施策の充実を!!

重度訪問介護サービス・移動支援は実態に見合った支給を

南畑さち代市議

65歳を超える重度の肢体不自由の重度訪問介護は介護サービスをまず優先的に利用し、その上で、介護者の状況や本人の希望などの基準に適合した方 が利用できるとなっています。そのため、市の基準では不服であり、もっと利用時間を増やして欲しいとの声があります。重度訪問介護の位置づけと方針につい て質しました。また、障害のある方の移動支援についても、趣味、買い物などの社会参加への利用時間は制限があることから、利用時間を増やすよう求めまし た。
市は障害のある方が居住生活を支える基本的サービスであり、障害の状態に応じた適切なサービスを提供できるよう質の向上に努めており、現在、介護保険と の併給をされている方は13人で全身性障害者、または難病で常時措置が必要な障害程度区分6の認定を受けていることを明らかにしました。
難病や全身性障害者で常時、医療措置が必要という状態に加え、介護する方も高齢で、人工呼吸の管理や痰の吸引など大変な実態を紹介しながら、市の裁量で最大限サービスを提供することを強く要望しましました。

障害児放課後等支援事業

負担軽減に向け前向きに検討

南畑さち代市議

障害のある中高生に放課後等、活動の場を提供している障害児放課後等支援事業は保護者負担が一律1000円となっています。一方、小学生等が利用 できる児童デイサービスの保護者負担は原則1割負担を今年4月からは、市民税非課税世帯及び生活保護世帯は無料になりました。負担の公平性からも障害児放 課後等支援事業の軽減について質しました。
市は、障害福祉サービス利用料の格差については、制度改正に向け、前向きに検討していくと答えました。


高校生の就職支援を!!

相談員を検討

大くさ主馬市議

労働者の平均賃金が1年間で5・5%も減っている一方で、大企業は内部留保を4・7%も増やし244兆円にもなっています。市民の暮らしがますま す苦しくなる中で、市の経済の主役である中小企業対策や市独自の経済対策、青年の雇用が早急に求められています。すでに新年度(2011年)予算編成作業 も始まっており、市民の暮らしを支える対策をどう進めるかについて質しました。
市長は「厳しい経営環境にある中小企業のみなさまを支援する」と答えました。また、教育長は高校生の就職について市立和歌山高校で12月2日現在、内定 率が58・1%であることを明らかにしたうえで「就職支援相談員の確保を検討している」と答えました。さらに、まちづくり局長は市の労働相談の現状につい て、09年度92件、10年度は11月までで98件に増加していることを明らかにしました。


「TPP協議参加」に反対する意見書-農業と地域経済へ大打撃

市議会で採択

写真 12月17日市議会最終日に、JAわかやまから提出の請願を受けて、議員発議で政府への意見書を賛成多数で採択(民主党市議は反対)。要旨を紹介します。

意見書の要旨

TPP交渉参加反対に関する意見書

政府は11月9日、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の協議を開始決定した。関税撤廃の例外を認めない完全自由化により、米国や豪州など農林水産物輸出大国の参加で、我が国の第一次産業は壊滅し、地域経済、地域社会に大打撃を与えることは必至である。
本市の温暖な気候環境のもと、限られた農地の有効活用で、食料の安定供給や国土保全など重要な役割を担ってきている。しかし、価格低迷や燃料高騰等、農業者の高齢化等により、本市農業はかつてない厳しい局面に立たされている。
農林水産物の自由化がすすめば、価格破壊が起こり、農業を始め第一次産業は壊滅的なダメージを受け、関連産業は衰退し、雇用機会が失われ、地域経済は壊滅しかねない。食料安全保障と両立できない一方的なTPP交渉への参加には反対であり、国に強く求めるものである。
上記、地方自治法の規定により、意見書を提出する。

JAわかやまはすべての会派に意見書の採択要請を行いました。

民主党市議が採択に反対

「自由貿易は世界の流れであり、壊滅打撃との試算(農林水産省、経済産業省など)はバラバラである。世界のあちこちで日本食ブームとなっており、 米を輸出する最大の機会でもある。情報収集の協議は、参加・不参加の参加条件をつめる際に重要であり、参加反対は現時点では拙速すぎる。」(反対討論の要 旨)


「国立大学法人運営費交付金の充実」

意見書全会一致採択

9月議会に続いて、和歌山大学が地域における「知の拠点」としての役割を果たせるよう、大学運営に必要な交付金の充実を政府に要望する意見書が、全会一致で採択されました。