2016年9月議会報告

経済政策について。

和歌山地方最賃審議会が8月に和歌山労働局長に答申した最低賃金は、22円増で時給753円になるが、法定労働時間上限で計算すると、年間約130万程度でワーキングプアと言われる水準にとどまることを示し、「賃金の最低額を保障することや労働条件の改善を図り、労働者の生活の安定に資する」とする、最低賃金の目的からすれば、憲法で定められた「健康で文化的な最低限の生活」を実現するための賃金が求められます。最賃の引き上げは労働者全体の賃上げに繋がるため、消費の拡大にも直結します。賃金の上昇による経済効果について、例えば時給が1000円に引き上げられた場合、消費需要は2兆4800万円増加し、雇用については、24万9700人、地方税収は、1499億円増との労働運動総合研究所の試算を示し、賃金の引き上げこそが最大の景気対策と言えると訴えました。
同時に、賃上げのためには、中小企業・小規模事業者への支援策が必要との意見が多く寄せられています。厳しい経営状況が続く中小企業・小規模事業者に対し、自治体がどのようにして対策を行い、賃上げの基盤を作るのか、地域経済の活性化にどう取り組むのか。その事が地方自治体に求められると訴えました。特に幅広い業種に影響し経済波及効果の高い制度が求められ、例えば地域の仕事づくりを進める事が効果的である事や市が発注する公共事業が仕事づくりとして、大きな役割を果たしている事から、市の方針としてしっかりと官公需法の理念を位置づけ、仕事づくりの一層の促進に努めるべきと質しました。
また、市の融資制度が27年度で23件、金額で1億645万円の利用に留まっているのに対し、商工会議所の小規模事業者経営改善資金は、27年度で90件、金額は6億4221万円です。特に運転資金に対する融資が81件と大半を占めているとの事であり、この実績に比べ、市の制度があまりに活用されていません。多くの事業者の方々は資金繰りに苦労されながら事業を行っているため、使いやすい融資制度というのは、中小企業支援に繋がるとして、利子補給を含む新規の融資制度の創設など求めました。
「今後も需要に応じて見直しや利子補給を検討する」「企業の生産性・収益性を高める事が必要」との答弁でした。
生産性の拡大などに重点を置いた時、事業を拡大できない小規模な事業所はどうするのか、不安定雇用の拡大に歯止めが効かず、賃金の底上げに繋がらない事が危惧されるため、仕事づくりの重要性を指摘しました。