2018年9月議会 一般質問

障害者福祉について

(問)
和歌山市障害者差別解消推進条例ができて何がどう変わったのか。視力障害者の生活を守る会の要求と市の回答を聞いていると条例が各種施策の改善を促すものとなっていないと思われるが、どうか。
(答)
和歌山市障害者差別解消推進条例は、2016年4月に「障害者差別解消法」が施行されたことに併せて本市における障害を理由とする差別の解消について基本理念を定め障害の有無に関わらず共に安心して暮らしやすい和歌山市の実現に寄与することを目的に施行した。条例の中で市の責務として障害及び障害者に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消するための必要な施策を行うこと、全ての障害者の意思疎通手段の普及を図ることについて規定している。また障害者からの障害を理由とする差別の解消に向けた助言をはじめ、あっせんを行うために障害者差別解消調整委員会を設置している。
(問)
障害児者の生活の場としての入所施設やグループホームの現状と計画はどのようなものか。
(答)
2017年度末時点での施設入所者実績は401人。第5期和歌山市障害福祉計画及び第1次障害児福祉計画における施設入所者の削減目標は、2020年度において2016年度末時点の入所者数から障害者の自立に向けた就労支援や地域移行を前提として2%以上削減することになっており、施設入所者数を8人削減して377人と見込んでいる。住み慣れた地域で生活圏を変えることなく住み続けられるグループホームの計画は、2020年度のグループホーム利用者数は374人で、2017年度実績288人の86人増を見込んでいる。
(問)
グループホームの設置主体について、市の考え、設置についての国、県、市の役割はどのようなものか。
(答)
設置主体には地方公共団体もしくは社会福祉法人をはじめとする法人格を有する者がなるが、本市としては民間活力の活用を図る上においても、国の補助金の対象となる民間法人の設置主体を考えている。グループホームの整備の必要性が高まっている中、公金を投じる上で、一定の要件はあるものの、より多くの設置主体の参画を促したいと考えている。設置に際する支援として、基本的には国の社会福祉施設等施設整備補助金の申請・交付をもとに本市負担分の補助金を加え助成している。
(問)
視力障害者の生活を守る会は、月3回は外出できるようにと福祉タクシー券の交付を72枚に増やすことを求めているが、このようなささやかな要求はすぐに実現すべきだと思うがどうか。
(答)
現在実施している障害児者外出支援事業では対象者は1回500円割引のタクシー券を年間24枚配布している。視覚障害者の場合、移動の利便性に資するためタクシー券を配布している。現在、本市でも当事者及び各種団体からの要望を伺っているが、限られた財源の中でどのような工夫ができるのか、障害児者外出支援事業全体として、今後調査研究していく。
(問)
市から様々な通知をする際に、該当世帯が視覚障害者の世帯で点字でなければ通知できないことを市の各課に事前にわかる仕組みが必要だと思うがどうか。
(答)
現在本市では、「固定資産税に係る納税通知書」や「国民健康保険料納入通知書」を送付する際に、各担当課が郵便物の内容がわかるように点字化した文書を同封して送付している。障害者支援課でも視覚障害者にとっての?社会的障壁を取り除くために今年度末を目途に「身体障害者手帳のカバーへの点字表記」や「重度心身障害児者受給者証の点字化」を進めている。ご指摘の点字による通知については、対象者の把握や効果的な伝達手段等、解消しなければならない課題が多いため、すぐには困難だと考えている。
(問)
障害者施設を減らそうという国の方針は実態に合っていないと思われる。施設入所者を減らすのならグループホームの利用を増やす必要があると思うが市の考えはどのようなものか。
(答)
障害のある人が住み慣れた地域で安心して暮らし、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生ができるよう「住まいの場」「働く場」の確保が求められており、障害のある人の地域生活の受け皿。社会参加の機会等としてグループホーム、就労施設等の整備が必要であると考える。そのため国に対して社会福祉施設等施設整備費国庫補助金によるグループホームの整備の要望を行っているところだ。
(問)
空き家を活用したグループホームに対し「寄宿舎仕様が求められる」ことが設置の足かせになっているという話を聞いた。規制の緩和、あるいは整備に必要な補助の不当てが必要だと思うがどうか。
(答)
グループホームの建築基準法上の取扱いについては、日本建築行政会議編集の「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」及び「和歌山県内建築基準法取扱い集」において、戸建型グループホームは、寄宿舎として取り扱うこととされており、防災上避難の際に支障がある方の利用が見込まれる施設であることから、安全上の観点からも基準を緩和することはできない状況だ。現在実施している社会福祉施設等施設整備費補助事業は、新たにグループホームを開設するための建築補助と老朽化などで必要となる修繕を対象としている。更に空家等を活用してグループホームを始めようとする際にも活用が可能だ。

行政組織について

(問)
現在、市の意思決定はどのようにされているのか。以前の政策調整会議のような意思決定機関が必要だと思うが市長の考えはどうか。
(答)
私は、政策決定を含めた事務の迅速化と最終決定者の責務の明確化を図ることが重要との考えから、以前の政策調整会議のような意思決定機関を設けず庁内で議論を重ねたうえで決裁行為により意思決定を行っているところだ。
(問)
庁内議論に市長が関わり意思決定の場に市長とすべての部局が参加して決めなければ、決裁に関わらない部局は議論の中身と結論が分からないのではないか。
(答)
現在、重要施策等については、私を交えた政策調整会議をはじめとした横断的な会議で議論を重ねたうえで決裁行為により意思決定を行っている。意思決定後は政策調整会議での報告などにより、各部局間で情報共有を図っているところだ。
(問)
企画課と政策調整課の関係はどのようなものか。ソフトとハードについて企画部門と実行部門を区分すべきだと思うがどうか。?
(答)
企画課は市政の総合計画の策定及び進捗、またそれにかかる重要施策の調整並びに調査研究に関することを所管。政策調整課は市の重要事項の総合調整を目的として関係部局間の連携を図り速やかな政策課題への対応を行っている。企画部門と実行部門については、行政組織上、区分されており、企画部門では組織全体に関わる調査・研究や計画を検討し、事業化する際には調査・研究等を踏まえ実行部門が行うことになる。
(問)
ソフトとハードについて、企画部門と実行部門を区分すべきだと思うが、長年県で働き市長を4年務めてきた経験から市長の考えはどのようなものか。
(答)
私は本来、現場を熟知した職員が企画・立案・計画から実行まですべてを担うことが良いと考えている。しかしながら内容によっては局間など広範囲に課題がまたがること、業務量が多くなることから企画部門と実行部門を区分している。
(問)
市の住宅政策として民間住宅の利活用をどのように考えているのか。
(答)
民間住宅も和歌山市における社会資本の1つであって活用されるべき良質なストックであると考えている。2017(H29)年度に住宅セーフティネット法が改正されたことを受け本市においても低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯などいわゆる住宅確保要配慮者のための登録制度を開始している。また空き家についても危険な空き家の除去のみならず空き家を活用した地域交流拠点等づくりや各種団体と協力して活用に向け取り組んでいるところだ。
(問)
住宅政策について、公営住宅と民間住宅のあり方や持家など市民の住まいをどのように考えているのか。
(答)
市民の住まい方については、持家や賃貸、新築、中古など様々なニーズがあると考えており主として民間事業所等により住宅供給が行われている。一方で民間事業者だけでは対応できないことから市として住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することなどを目的とした公営住宅法に基づく公営住宅事業に取り組んでいる。また住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進、高齢者の居住の安定確保のためのサービス付き高齢者向け住宅の登録の推進、空き家等の適正管理の促進などにも取り組んでいる。今後も市民のニーズに応えられるような住宅政策を検討したいと考えている。
(問)
ワンストップ窓口についての考えはどのようなものか。
(答)
総合窓口については、先進市の調査や研究を行い本市にとってどのような方法が最善であるか検討を行っているところだ。ワンストップ窓口の導入には窓口職員の育成と能力維持、スペースの確保
(問)
とりあえず災害時には、り災証明書発行と各種減免の申請が同時に1か所で行える仕組みをつくるべきだと思うがどうか。
(答)
り災証明書発行に伴う支援制度の申請手続きについては現在り災証明書を発行された方のうち、床上浸水以上または家屋に一定以上の被害を受けられた方については、災害見舞金支給のほか市税や国民健康保険料などの減免制度があり、それぞれの窓口において申請いただいているところだ。特設窓口の設置についてはシステムや台帳での確認が必要なことからワンストップでの対応は厳しい状況ではあるが、各担当課と調整し案内文を工夫することで市民の方へわかりやすい周知ができるよう努めていく。
(問)
困ったときの相談窓口として、直接相談を受け付けたり、担当課に連絡したり連れていって一緒に話を聞くような市の仕組みに詳しく人当たりの良い再任用職員を配置すればいいと思うがどうか。
(答)
来庁される市民の方のご案内にっいては、現在本庁舎の総合案内に2人、北口に2人、東庁舎に1人のフロアマネージャーを配置し市役所を訪れる市民にわかりやすく親しみやすいサービスを心掛けているところだ。ご指摘の知識や経験の豊富な再任用職員による窓口案内は、市民の利便性の向上が期待できると考えるが、現在配置しているフロアマネージャーの運用方法なども踏まえながら今後検討していく。